業員用トイレに撮影機器設置で逮捕の会社員が「記憶にありません」との報道!?

1 報道の概要

施設の従業員用トイレに約1か月にわたり撮影機器を設置し、女性を盗撮した疑いで、自称会社員の31歳の男が北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された。警察によると、男は去年住居侵入の容疑で逮捕されており、今回の事件への関与も疑われたため、男の自宅を家宅捜索したところ、決め手となる証拠物がでてきた。調べに対し、男は「記憶にありません」と容疑を否認している。

以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。

 

2 「自称」会社員とは何か?

今回の事件では、男の職業が「会社員」ではなく「自称会社員」と報道されています。これは、職業についての裏付けが取れていないか、本人の職業に関する自己申告を警察が疑っている場合などに行われる報道です。実際、身分がばれると会社を首になるなどの理由で、本当の職業を話さない被疑者は相当数います。

なお今回の事案では、盗撮を行った会社の社員なら、警察は容易にその事実を掴めたはずです。従って、犯人は他所の会社のトイレに盗撮機器を設置していたものと考えられます。

 

3 「記憶にありません」

本件では、犯人は「記憶にありません」と供述しています。既に明確な証拠などが出てきている場合には、このような否認をすることは、反省していないことを示すに過ぎず、マイナスにしかなりません。

ただ、盗撮事案などで、手あたり次第行っているような人だと、問題の事案について、本当に記憶がないということもありえます。そのような場合でも、類似の犯罪をしていたのなら、「明確な記憶はありませんが、状況から考えても、自分がしたことに間違いありません」と話した方が、まだ反省の気持ちが伝わります。その辺を教えるのも弁護士の役割となってきます。

 

4 家宅捜索

機器設置による盗撮事件のような悪質な犯罪の場合は、必ず家宅捜索がなされます。パソコンの中身などを確認(消去してあるものも、復元される)されることになります。それによって、余罪が見つかることも多いです。本件の場合は、相当数の余罪が見つかった可能性もあります。

 

5 本件の弁護活動

本件は、恐らく多くの被害者がでてきます。また、不法侵入された会社も被害者といえます。これら多くの被害者たちに、誠意をもって謝罪し、賠償金をお支払いし、できれば示談することが弁護活動の柱となります。

また、このような異常な盗撮を行う者の場合、心療内科などでのカウンセラーを通して、今後このような犯罪を二度としないようにすることも、弁護活動として意味のあることといえます。

 

6 盗撮事件を起こした方は、すぐにご相談ください

弊所では、盗撮機器設置型の盗撮事案の弁護活動も多数行ない、実務上多くの経験を有しています。

示談交渉はもとより、治療としての入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でのサポートを提供しております。

事件を起こした方は、できるだけ早くご相談いただければと思います。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士