チアリーダー盗撮目的で球場に入ったとして建造物侵入容疑で逮捕との報道

全国高校野球選手権が開かれている球場に、盗撮目的で入ったとして、建造物侵入の疑いで、50歳の男が現行犯逮捕されました。警察によると、チアリーダーが三塁側スタンドの通路を移動する際、スカートの下に足を差し向ける男の様子を保護者が目撃しました。声を掛けたところ、その場から立ち去ろうとしたため、保護者が呼び止めて確保し、大会運営関係者に引き渡しました。警察は、男が持っていた小型カメラとサンダルを押収、サンダルに小型カメラを仕込んでいたとみて調べています。

以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。

 

1 盗撮での逮捕ではないのか?

今回の事案の男性は、盗撮と見える行為を行っています。常識的には、迷惑行為処罰条例違反として、逮捕されるのが筋でしょう。

しかし、現実には盗撮行為ではなく、建造物への侵入好意で逮捕されています。このことはどう考えれば良いのでしょうか?

 

2 球場に入ることが建造物侵入罪になるのか?

球場は基本的に多くの人に開かれている場所です。いくら盗撮をするという悪い目的を持っていたとしても、立ち入ること自体で建造物侵入罪となることはないというのが、これまでの刑事実務であったはずです。たとえば、万引きの目的でスーパーに入った場合でも、特に建造物侵入とはならなかった。また、盗撮や痴漢目的で駅に入った者が、建造物侵入罪問われたという事例も聞いたことが無いでしょう。

今回の球場への立ち入りの場合、何故建造物侵入罪が適用されたのかは必ずしも明らかではない。おそらく、今回は一般人は球場への立ち入りが禁止されていたなどの事情があったのかもしれません。

 

3 本件の弁護活動

本件では、盗撮と建造物侵入の罪が問題となっており、それぞれで被害者が異なっています。まず、盗撮の被害者に対しては、謝罪と賠償が必要になってきます。

建造物侵入の方は、球場の管理者に対するお詫びなども必要となります。ただ、盗撮の方の被害者が本件の示談に応じてくれるような場合には、球場管理者との示談が出来なくても、場合によっては不起訴処分となることもあり得えます。

更に本件では、押収されたカメラなどから、余罪の発覚する可能性も十分あるので、そちらと合わせての弁護活動が必要となってきます。

 

4 盗撮事件を起こした方は、すぐにご相談ください

弊所では、多数の盗撮事案の弁護活動を行ってまいりました。

被害者との示談交渉、治療としての入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートいたします。

事件を起こした方は、できるだけ早くご相談いただければと思います。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士