「置き配」を相次いで盗んだとして、男性が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

玄関に宅配物を置く「置き配」を相次いで盗んだなどとして、大阪府警住吉署は、住所不定無職の男性を窃盗容疑などで逮捕、送検しました。「仕事を辞めて金がなく、置き配を盗んで食べ物を確保していた」と供述しているそうです。

新型コロナウイルスの影響で、対面の必要がない「置き配」が増加しており、報道によれば、男性は、2~3月、府内の集合住宅などで置き配を計16件(総額約5万円相当)盗んだ疑いがあり、飲食店に侵入して現金を盗んだなどの疑い7件(総額約16万円相当)も含め、計23件の被害を裏付けたようです。

 

2 窃盗罪の捜査、刑事処分等

窃盗罪は、人の物を盗んだり、勝手に使用することによって成立する犯罪で、法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

窃盗と言っても、比較的軽微なものから悪質なものまで様々です。本件では、住居侵入も繰り返していますから、非常に悪質な部類と考えられます。仮に常習性が認められれば、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律という特別法で処罰されます。この場合の法定刑は、3年以上の懲役です。

おそらくこの男性はもっと多くの事件を起こしてると思いますが、窃盗の場合、いつどこで何を取ったのかを証明する必要があります。置き配の中でも、Amazonなどは玄関に置いた状況を写真で取りますし、飲食店では監視カメラがありますから、証拠があるもの(=裏付けのあるもの)のみ、立件し、送致したものと思われます。

いずれにせよ、正式裁判はほぼ避けられません。

 

3 弁護活動

このように複数件の犯罪を起こしている場合は、自分の起こしていない事件についても、疑われる可能性があります。まずは、心当たりのない事件について、しっかりと否認する必要があります。

また、窃盗の場合、被害者がいることが前提になりますので、まずはその被害者との間での示談交渉が最優先になります。ただ、今回は、生活苦ということですし、被害者が多いため、示談はなかなか現実的ではありません。仕事を失ったという犯行に至る経緯、反省の態度や、社会的制裁を受けていればその内容、今後の生活の立て直しなどを情状として主張し、可能であれば、最低限、盗んだ金額を返還することが必要でしょう。

住居不定ということですから、早期の身柄解放も難しいと思われます。知人の協力を得ることができれば、保釈支援協会などから保釈金を借りて、何とか保釈を通せるように努めることになるでしょう。

窃盗罪でお困りの方はお早めにご相談ください。

 

 

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執筆者情報

石崎 冬貴Fuyuki Ishizaki

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士