NHK旭川放送局の副局長が万引きで逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

報道によると、NHK旭川放送局の副局長の男(58)が、旭川市内のリサイクルショップで商品を盗んだとして令和3年(2021年)5月15日に逮捕されたとのことです。

NHK旭川放送局副局長の男は、この日、旭川市内のリサイクルショップで掃除機の備品や水筒など、商品3点(合計770円)を盗んだ疑いがもたれています。不審に思った店員が、警察に通報し発覚したとのことです。

事件を受けてNHK札幌拠点放送局は、「職員が逮捕されたことは遺憾です。事実関係を確認し厳正に対処します」とコメントしています。

 

2 本件で成立する犯罪について

本件は、いわゆる万引きですので、被害金額の多寡にかかわらず刑法上の窃盗罪に該当します。

窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。本件のように被害金額が比較的少額で、かつ初犯であれば罰金になる可能性が高いですが、余罪などの常習性によっては正式な裁判となる可能性も十分にあります。

仮に罰金となっても前科はついてしまいますので、これを避けるためには、少なくとも商品の返還と被害相当額の賠償は必要になります。

被害店舗によってはこれらに応じない方針のところもございますので、まずは弁護人を選任し、適切に示談交渉を行う必要があります。

 

3 本件について

本件はいわゆる万引きと書きましたが、被害金額も合計770円と高額ではありません。

にもかかわらず、本件では逮捕され、職業も報道されてしまいましたので、わかる人には個人の特定もできてしまいます。

詳しい事情はわかりませんが、逮捕にまで至っているのは、犯人の男が当初否認や黙秘をしていたのではないかと推察されます。

報道に関しては、一般的に大企業や有名企業の従業員などは、世間の注目を集めやすく、実名報道される可能性も高いのですが、本件は比較的軽微な犯罪なので、実名までは報道されなかったものと推察されます。

 

4 弊所の弁護方針について

前述のとおり、窃盗罪に関しては、初犯で被害金額も軽微であれば罰金刑で終わることがほとんどです。ただし、被害金額が高額である、余罪が多数ある、犯行態様が悪質である等の事情がある場合には、正式な裁判を受け実刑となる可能性もあります。

これらを避けるためには、つまり不起訴や執行猶予を得るためには、被害店舗に対し、示談の申込みをして示談を成立させることが重要となります。

本件のような被害金額が軽微なものであれば、示談(最低でも被害相当額の賠償)が成立すれば不起訴となることがほとんどです。

ただし、被害店舗の方針によっては示談や被害相当額の賠償に応じていただけないこともありますので、早期に弁護人を選任し、適切に交渉を進めることが重要です。

もしご自身やご家族が窃盗事件にかかわってしまった場合は、当事務所までご相談ください。

 

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執筆者情報

下田 和宏Kazuhiro Shimoda

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士