酔った男が高校生を蹴って怪我をさせた容疑で逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

旭川中央警察署は、JR旭川駅のトイレで、通学途中の17歳男子高校生の腹を蹴りけがをさせたとして、傷害罪で、住所職業不詳の男性を逮捕しました。

警察の発表によると、男は、当時、酒に酔っており、現場を目撃した高校生の友人が警察に通報し、逮捕に至りました。男は話をはぐらかしており、認否は明らかではないとのことです。

 

2 暴行・傷害行為の刑事処分

傷害罪は、暴行行為によってけがを負わせた場合、成立します。誰かを蹴ったという行為でも、けがをしなければ暴行罪、けがをすれば傷害罪ということです。

法定刑は、暴行罪が、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料、傷害罪が、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

暴行罪や傷害罪は、前科の有無、態様、けがの程度によって大きく異なりますが、いわゆる「あざ」「打撲」くらいであれば、低額の罰金で済むことが多いでしょう。逆に、後遺障害が残るような重篤なけがを負わせれば、初犯でも実刑となる場合もあります。

今回は、けがの程度が不明ですが、腹部を蹴られたということですから、そこまで重篤なけがには至っていないと思われますが、動機などがはっきりしなければ、通り魔的な犯行であり悪質です。さらに、本人も認否を明らかにしていないということですと、罰金刑ではなく、正式裁判を経て懲役刑となる可能性もあります。

 

3 弁護活動等

身柄拘束されている事件では、まずは、身柄の解放が優先ですが、本件では、住所も職業も不詳のようです。まずは身元関係をはっきりさせ、身元引受人を探すことから始めないと、早期の身柄解放は難しいでしょう。

また、暴行・傷害事件では、基本的に、被害者との示談が重要です。また、示談と言っても、単純に民事上の解決をするのではなく、被害届を取り下げたり、「刑事処分を求めない」といった示談書を取り交わすなど、刑事処分を軽くするための対応が必要です。また、被害者との交渉が満足にいかない場合などは、検察官との交渉が重要になることもあります。

まず被害者との示談については、とにかく誠意をもって謝罪の意思をお伝えすることが重要です。その上で、事件場所に近寄らないなど、生活圏行動圏の変更を行い、安心してもらう必要があります。最終的に、損害賠償金、示談金を受け取ってもらい、刑事処分を軽くするための協力をしてもらえないか依頼します。

本件では、被害者が男子高校生であり未成年ですから、その親権者(通常は父または母)と協議することになります。

被害者(親権者)と示談が成立し、処分について軽くする方向での意見をもらえれば、通常は、不起訴(起訴猶予)になることがほとんどです。暴行・傷害事件は、被害者の意向が非常に重要ですから、示談が成立すれば、後遺障害が残るケースでも不起訴となる可能性は十分あります。弊事務所で取り扱った事件では、被害者が片目を失明したケースでも、示談をして不起訴になりました。

弊所では、これまでも暴行・傷害行為の弁護は多数担当していますので、ご不安な方は、すぐにご相談ください。

 

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執筆者情報

石崎 冬貴Fuyuki Ishizaki

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士