ウーバー配達員を装った男が、キャッシュカード窃盗の疑いで逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
先日、詐欺の「受け子」をしていた男(22歳)が、ウーバー配達員を装っていたというニュースが報道されました。報道によれば、男性は、70代の女性に「親族名義の口座から不正に出金されている」などと警察官を装って電話したうえで、同女性からキャッシュカード4枚を盗んだ疑いがあるとして、窃盗の容疑で逮捕されたということです。
また、男は、ウーバーイーツの配達員のような格好をしていたとのことです。
さらに、男性は、そのキャッシュカードを用いて、ATMで50万円を引き出した疑いも持たれているようです。
今回は、この報道を前提に、事件の解説と取りうる弁護活動についてお話します。
2 キャッシュカードを狙った昨今の窃盗事件
犯人が、被害者に対し、口座から不正出金がされている等、電話などで偽りの情報を伝えた上で被害者の家まで行き、キャッシュカードを見せてもらうなどした末、ふとした隙に被害者のキャッシュカードを盗んでいく。最近、そのような事件をしばしば耳にするようになりました。
このような場合、犯人は、被害者がよそ見などをしている間にカードを盗むという手口をとるため、詐欺罪ではなく、窃盗罪の容疑があるとして、逮捕されたり起訴されたりすることになります。
今回の報道には、男性を「詐欺」の受け子とするものもあります。しかし、報道の事実関係など見る限り、男性は被害者に嘘を言って信頼させ、家に上がる等の接近を試みてカードを盗む「窃盗」をしたおそれがあるものとして、逮捕された可能性が高いです。
3 なぜウーバーイーツの配達員を装ったのか
今回の事件の特徴は、男性がウーバーイーツの配達員のような格好をしていた、ということです。これは推測ではありますが、男性は女性の家を出入りする際に、周囲の第三者から怪しまれないようにするため、配達員を装ったのではないかと考えられます。
4 成立しうる犯罪(窃盗罪など)
今回、男性には4枚のキャッシュカードを盗んだことに窃盗罪が成立する可能性があり、ATMでカードを用い50万円を引き出したことにも、別に窃盗罪が成立する可能性があります。
さらに、それぞれの事件につき、住居侵入罪等が成立する余地もあります。
5 今回のような窃盗事件の弁護活動
今回のような、盗んだキャッシュカードを使いATMで現金を引き出す事件については、銀行と預金をしていた方双方に対して、示談交渉をしていくことで、不起訴や執行猶予付きの判決を目指していくことになります。
盗難カード等による不正な現金の引き出しには、銀行が預金者に金額を補填する法律もあるところです。そこで、どれくらいの被害額を誰に弁償等していくかは、この法律の適用などもふまえて、事案ごとに考えていくことになります。
今回のような特殊詐欺類似の犯罪について、銀行から許すという内容の合意を得ることは大変困難であると予想できますが、全額弁償をすることは、一つの目標になるでしょう。
6 キャッシュカードに対する窃盗など、盗みをしてしまった方はご相談下さい
弊所では、これまで多数の窃盗・詐欺事件を取り扱ってきており、多くのケースで被害者様との示談や検察官(検事)との交渉を成功させてきました。示談交渉や自首、公判での弁護等、あらゆる側面でのサポートをさせて頂きます。
執筆者情報
原田 大士Daishi Harada
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士