カメラを仕込んだ改造バッグでの盗撮容疑で男が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

トートバッグにカメラを仕込むという改造を施した上で、女性2人を盗撮した男性(38歳)に懲役1年6か月の実刑判決が言い渡されたとの報道がありました。

男性は、トートバッグに小型カメラを仕込むだけでなく、バッグの持ち手部分のスイッチを押すとカメラ横のライトが点灯するなどの改造を行っていたとのことです。

男性は、そのバッグを用いて、一昨年と去年にかけて、女性のスカートの中を盗撮していたようです。

今回は、この事件を題材に、法的な論点やとりうる弁護活動について解説します。

 

2 盗撮はどのような罪に問われるか?

盗撮罪という名前の犯罪は存在しません。盗撮をする行為は、各県が定める迷惑防止条例違反になり得ます。今回の事件も、高知県の迷惑防止条例違反にあたるとして、実刑判決が下されました。

他にも盗撮行為は、18歳未満の相手にしてしまった場合は、児童ポルノ禁止法違反になり得ます。また、盗撮目的で公共の施設などに侵入すれば、建造物侵入罪が別途成立する余地があります。

 

3 盗撮事件でも実刑判決になる

盗撮行為は、決して楽観視できる犯罪ではなく、逮捕や起訴がされることのある犯罪です。盗撮現場で、警備員や周囲の人に見つかって現行犯逮捕されることもあれば、防犯カメラなどの証拠が固まって後日逮捕される可能性もあります。また、常習性や悪質性の高い事件は、略式起訴(100万円以下の罰金等を科す簡単な手続)ではなく、公判請求をされ、裁判にまでなることもあります

今回の事件でも、男性は、公判手続を経て、1年6か月の実刑判決を受けていますが、これは盗撮事件の中でも、かなり厳しい処分です。1年6か月という年月は、裁判所が、男性の盗撮を常習的であると認め、巧妙にバッグを改造する手口を厳しく評価した上での判決と推測できます。また、男性は過去に5回、盗撮で摘発を受けたことがあると報道されています。推測ですが、その摘発事件の中で、男性は既に懲役判決を得たものがある可能性が高く、今回は執行猶予の付かない実刑判決を受けてしまったものと考えられます。

 

4 盗撮事件に対して出来る弁護活動

今回のようにハードルの高い盗撮事件であっても、被害者を特定し示談交渉をするという弁護活動は重要です。示談をスピーディに成功させれば、盗撮事件を不起訴にすることが出来る場合もあります。

また、盗撮現場では盗撮がバレなかったといったケースでは、自首が大きな意味を持つことがあります。自首の情状を捜査機関が汲むことで、逮捕のリスク、それに伴って報道されるリスク、重い処罰を受けるリスクなどが減る場合が多いのです。さらに、常習性の高い事件などについては、再犯防止対策をしっかり講じることを示すことも、重要な弁護活動になります。

 

5 盗撮をしてしまい、悩んでいるという方はご相談下さい

弊所は、盗撮事件をはじめとした性犯罪事件を幅広く取り扱ってきました。また、弊所は長年にわたって、弁護人による示談交渉や自首同行等の重要性を唱え、実現することで、多くの実績を残してきております。

その他、再犯防止策や裁判の面でも、あらゆるサポートをさせて頂くことが出来ます。

 

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執筆者情報

原田 大士Daishi Harada

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士