カメラ付きペンをドアポストに差し込み盗撮容疑の男が逮捕との報道!?
1 報道の概要
小型カメラ付きの、約15センチのボールペンで、20代の女性のドアポストに差し込み、輪ゴムを使って固定して、居室内の女性の様子を録画したとして、警察はつくば市の大学院生の男(26)を県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。 別の30代女性宅で、ドアポスト内に置かれたペンに女性が気づき、同署に相談して発覚し、カメラの映像データを調べたところ、30代女性のほか20代女性の被害も判明したという。署によると、カメラの映像に、ペンを設置する男の姿が映っていたことなどから、大学院生が容疑者として浮上したという。
以上の事案をもとに、問題となる法的論点を解説します。
2 特殊器具による盗撮
盗撮事件で一番あるのは、駅のエスカレーターなどで、前に立っている女性の下着を、スマートフォンなどで録画したという事案です。このような事案の場合、現在はほとんど逮捕まではされないで、在宅で取り調べられてから、検察庁に事件が送られます。
その一方、特殊な器具を用いた盗撮の場合は、悪質性が高いとして、逮捕されることが多いです。さらに、他人の家等での盗撮の場合は、さらに悪質性が高いと判断されることになります。
3 何故発覚するのか?
盗撮器具を設置した盗撮の場合、見つかったと思ったら、取りに行かない人も相当数います。そのような場合には、犯人が誰かはなかなか特定できません。(マンションの居室の場合は、入り口の防犯カメラの解析で、分かる場合も多いですが。)
しかしながら、このような盗撮器具の設置の場合、その盗撮機器自体に、犯人の姿が映っているということも比較的よくあります。冗談のように思えますが、それほど雑な犯行を行う人が多いということです。当事務所でも、何件も似たようなことで発覚した事案を扱っております。
4 余罪の発覚
今回の事件では、他の家で発見された盗撮機器の映像で、本件も発覚しました。こういうことも、非常に多くあります。消去した記録を復元したといった高度な話ではなく、そもそも消していないものを使用して、新たな盗撮を行う人が後を絶ちません。
さらには、このような特殊機器での盗撮では、家のパソコンも捜査の対象となります。パソコン内で、盗撮コレクションを整理している人も沢山います。更には、家のパソコンにとどまらず、会社のパソコンまで調べられる可能性もあります。これは、事件が会社に発覚してしまうので、本人の自業自得とはいえ、大変なダメージとなります。
5 本件の弁護活動
本件では、盗撮の被害者が複数いるので、できるだけ多くの人と示談を行う必要があります。ただ、このような悪質な盗撮の場合、なかなか示談に応じてもらえません。引越し費用の負担なども合わせて提案することで、何とか被害者様の納得を得られるようにするのが、弁護人の腕の見せ所と言えます。
6 盗撮事件を起こした方は、すぐにご相談ください
弊所では、余罪の多数ある盗撮、機器設置型の盗撮事件等、多数の弁護活動を行ってまいりました。
被害者様との示談交渉、性犯罪の治療としての入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士