居酒屋で酒に酔って女性に抱きつく“暴行” 中学校講師を逮捕との報道!?

1 報道の概要

居酒屋で客として訪れていた23歳の女性に対して、肩で押して体当たりしたあと、抱きつくなどの暴行を加えた疑いで、中学校講師の男が逮捕された。女性は友人と店で食事をしていたところ、被害に遭い、容疑者と面識はなかった。 男は当時、かなり酒に酔っていたとみられ、調べに対し「抱きついたりしていない」と容疑を否認している。

以上の事案をもとに、問題となる法的論点を解説します。

 

2 強制わいせつではないのか?

知らない女性に抱き着いたとなると、通常は強制わいせつが問題となります。ただ、どのような犯罪の場合が強制わいせつで、どの程度までが迷惑行為防止条例違反や暴行罪となるのかも、必ずしもはっきりとはしていません。

本件についても、肩で押して体当たりをしたような行為が暴行であることは間違いないが、その後の抱き着いた行為については、今後強制わいせつ罪などになる可能性も残っています。

 

3 酔っていたときの犯行を覚えて居ない?

本件は、酒に酔っての犯行ですが、「抱きついたりしていない」と犯行を否定しているとのことです。しかし、酒に酔っているのだから、自分が「抱きついていない」ことを、明確に記憶していると考えるのもおかしな話と言えます。このような否認を続けると、逮捕勾留された上、さらに重い罪に問われる可能性があります。

認めていれば早期に釈放され、せいぜい罰金刑で終わりますが、否認となると、最悪起訴されて、懲役刑(執行猶予は付くでしょうが)となる可能性も出てきます。

 

4 本件の弁護活動

今回の暴行事件のような被害者のいる犯罪では、被害者への謝罪と弁償が一番の弁護活動になります。その前提として、本件では本人とよく話して、何故積極的に抱きついていないと言えるのかを明確にする必要があります。特に理由が無いのに、そのような主張を続けることは、本人にとって不利にしかなりません。嘘をついて認める必要はないですが、「酔っていて記憶がない。しかし、多くの目撃者もいるなら、自分がやったことに間違いない。本当に反省しております。」と言えば済む話です。この辺のアドバイスをするのも、弁護士の重要な役割と言えます。また、このような犯人には、断酒についての対応を取るようにしていく必要もあります。

 

5 暴行事件を起こした方は、すぐにご相談ください

弊所では、暴行事件はもとより、迷惑行為防止条例違反や強制わいせつ事件まで、様々な類型の犯罪事件の弁護活動を行ってまいりました。

自首の同行、被害者との示談交渉、治療としての入院、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士