取材中にスカートの中を盗撮した元支局長を解雇!!
1 報道の概要
報道によると、茨城新聞社は、取材中に女性を盗撮したとして、元取手・龍ケ崎支局長の男性(51歳)を懲戒解雇処分にしたとのことです。
元支局長の男性は在職中の令和2年6月、取材中に女性のスカートの中を盗撮したということで、男性は社内調査において、盗撮の事実を認めているとのことです。
2 盗撮行為は何罪?
盗撮行為については、刑法に規定はなく、各都道府県が定める「迷惑行為防止条例」に規定があります。
細かい内容や表現は各条例によって違いはありますが、共通するものとして、盗撮は、「住居、トイレや浴場などの通常衣服を脱ぐような場所または公共の場所」にて、「下着または身体の一部」を、「実際に撮影する行為、撮影目的でカメラ等を差し向ける行為、または撮影目的でカメラを設置する行為」と定義されています。
注意すべき点としては、実際に撮影はしていなくても、カメラ等を差し向ける行為または設置する行為も盗撮とされていることです。つまり、撮影に失敗した場合や撮影した画像等が残っていなかったとしても、撮影行為に及んだ時点で規制の対象になるのです。
上記の報道事件は、実際に撮影もしていたようですが、撮影されていなかったとしても、カメラ等を差し向けた段階で、盗撮として迷惑行為防止条例違反となっていたといえます。
3 そのほか注意すべきことは?
上記の報道にもありますが、勤務中に盗撮などの犯罪行為を行い、それが勤務先に発覚した場合、懲戒処分は免れないでしょう。特に、犯行態様が悪質であったり、その内容が会社の信用を貶めるようなものであれば、仮に刑事処分では不起訴となったとしても一番重い処分である懲戒解雇処分となることもあります。
上記の報道でも、刑事処分についてはまだ決まっていない段階だと思われますが、一番重い処分である懲戒解雇処分となっていますので、会社としても事態を重く受け止めたのだと考えられます。
4 発覚から逮捕の流れ
上記の報道からは盗撮行為の態様は明らかではありませんが、スマホや小型カメラを差し向ける行為の場合、実際に盗撮された被害者や近くにいた第三者が不審な動きに気付き、盗撮が発覚するというケースがほとんどです。また、後日、防犯カメラなどで犯行が発覚するケースも稀ですがあります。
被害者等に現認された場合は言い逃れもできませんし、逃げようとすれば、逮捕までされてしまう可能性が高いといえます。また、報道されてしまうリスクもあります。
仮にその場では何もなくても、後日、防犯カメラなどから特定されてしまうケースでは、いきなり警察が自宅に来ることもありますので、これらのリスクを回避するためには、自首をして、事実関係を正直に認めるしかありません。自首をしたうえで逮捕や報道されるケースは、よほど悪質な事案でない限りはありませんので、職場などに知られることもありません。
5 不起訴の可能性
不起訴を得られるかどうかは、被害者と示談ができるかどうかによります。被害者と示談ができれば、初犯の場合、ほぼ不起訴となるといえます。
ただし、被害者との示談交渉は当事者同士ではまとまりませんし、そもそも連絡先すら知ることはできません。
弁護士が間に入ることにより、被害者の連絡先を捜査機関から得ることが可能となりますので、早期に弁護士に相談するようにしましょう。
仮に示談ができない場合でも、事情によっては、検察官との交渉により不起訴となることもありますので、あきらめずに交渉することが必要です。
不起訴を得て前科を回避するためには、弁護士への依頼を検討しましょう。
執筆者情報
下田 和宏Kazuhiro Shimoda
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士