職場盗撮をして弁護士を伴わず自首をして逮捕!逮捕の理由を弁護士が解説します
1 報道の概要
報道によると、2022年11月29日に、高校の女子トイレに侵入して小型カメラを仕掛けて盗撮した疑いで、2022年12月1日に男性教員を逮捕しました。
この男性教員は、2022年11月30日の午後2時ころに自首をしていましたが、それでも逮捕されています。
このコラムでは、この容疑者が自首をしたにもかかわらず逮捕された理由を分析して解説いたします。
2 盗撮が逮捕される場合
そもそも、どういう事件が逮捕されるかというと、逃げたり証拠を隠したりするような疑いがあるような事件で逮捕されます。そして、悪質な事件のほうが、逃げたり証拠を隠す可能性が高まりますので、逮捕の可能性が上がります。
そして、盗撮の逮捕の可能性を説明する前に、盗撮には大きく二種類あることを説明しなければなりません。
盗撮は、①街中や公共交通機関で衝動的に盗撮するものと、②カメラを設置して計画的に盗撮するものの大きく2種類に分類されます。
1つ目の衝動的な盗撮は、最近の首都圏の運用では、逮捕されることは少ないです。たとえば、悪質な態様であったり、逃げたり、再犯の場合にだけ逮捕されているように思います。
一方で、2つ目の計画的盗撮は、よく逮捕されます。その計画的で悪質だと判断されることもありますし、トイレなどのよく映るような場所で撮影されるため、被害者の羞恥心への影響も大きく、逮捕されることが多いように思います。
3 弁護士とともに自首をする場合の逮捕回避可能性
弁護士を伴って自首をした場合、逮捕の可能性を下げることができます。当事務所の実績になりますが、盗撮で自首をした事件は、このコラム投稿時点において、すべて逮捕を回避できています。
弁護士を伴って自首をするメリットは、①逃亡の可能性が低いことをアピールできること、及び②証拠隠滅の可能性が低いこともアピールできることにあります。
弁護士を伴って自首をし、弁護士が身元引受人になることで、警察に対して逃亡の可能性が低いとアピールできます。
また、第三者である弁護士が、あらかじめ事件についてヒアリングをし、証拠関係を整理し、それを警察に報告をすることで、どのような証拠があり、証拠が隠しようがないということをアピールできます。
それによって、逮捕の可能性を下げることができるのです。
4 この事件で逮捕された理由
この事件で、自首したにも関わらず逮捕された理由ですが、詳細はわからないですが、①その学校の教員であったこと、②計画的犯行であったこと、③弁護士を伴わず自首をしたこと、④自首時に報告していない余罪があったという4点なのではないかと考えられます。
まず、その学校の教師の犯行ということもあって、その点で悪質だと判断され、刑罰も通常より重い可能性があると判断され、逮捕に踏み切られたのではないかということです。
次に、単にスマホをかざしたわけではなく、女子トイレに侵入してカメラを設置するという計画性が悪質だと判断された可能性があります。
加えて、弁護士を伴わず自首をしているので、逃げないというアピールができたとしても、証拠を隠さないということについてアピールしきれなかったということも考えられます。
さらに、余罪もあったということですから、自首時に正確に報告できなかった余罪の捜査のため、逮捕されたということもあるでしょう。
5 まとめ
以上のように、とくに悪質な盗撮の場合、逮捕を回避するためには、弁護士を伴って自首をすることが重要です。
もし、盗撮をしてしまって、逮捕を回避したいという場合、弁護士に相談していただくことをおすすめします。
執筆者情報
杉浦 智彦Tomohiko Sugiura
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士