訪問介護先で合鍵を使って侵入した介護職員の男が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

介護施設の職員の男が訪問介護先の男性宅に合い鍵を使って侵入し、キャッシュカードを盗んだとして警視庁に逮捕された。警視庁によると、容疑者は以前男性から口座の残高照会を頼まれた際に暗証番号を聞いていて、男性がリハビリで不在の隙をついたとみられている。被害に気付いた男性に対し、施設はカードを返却するにとどめ、警視庁に通報しなかったため、疑問に思った別の職員が区役所に相談し、事件が発覚した。

容疑者は「カードで50万円を引き出した」と認める一方、「無断で入ったわけではない」と容疑を一部否認している。

以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。

 

2 介護施設等での窃盗事案

介護施設での窃盗の事案は、かなり多いです。当事務所でも、何件か担当しています。介護が必要な人の中には、判断能力が劣ってきている人もいます。それに付け込んで、窃盗などを行う職員が出て来ます。また、身体的に不自由なので、銀行での入出金などを職員に依頼したがる人もいます。これは施設によって禁止されているのですが、その辺が段々となあなあになる中、このような事件が起こることになります。

ただ、施設の職員が、その立場を利用して、本来保護すべき人からモノ盗むということから、強く非難されると共に、重い処罰がなされることになるのが通常と言えます。

 

3 無断で入ったわけでない?

本件は、キャッシュカードを利用して、50万円を引き出したことは認めています。このようなときに、無断で入ったかどうかは、処罰を決める上でそれほど大きな問題にはなりません。

それどころか、このような否認をすると、「反省していない」ということで、かえって処罰が重くなることも考えられます。

たとえ合鍵を渡されて、「いつでも来て良い」と言われていたとしても、入室してキャッシュカードを盗んでいた場合は、「無断で入室した」と判断されることになります。

 

4 本件の弁護活動

本件では、事情をよく聞くのは当然ですが、まずは本人に無断で入室したのではないという主張が、本当に通用するものかはっきりさせる必要があります。常識的に通らない主張なら、このような否認は引っ込めるように説得するのも弁護人の役割と言えます。

さらに、被害の弁償を前提とした被害者との示談、今後二度とこのようなことをしないための具体的対応などを行うことで、可能なら罰金刑を目指す弁護を展開していくことになります。

 

5 窃盗事件を起こした方は、すぐにご相談ください

弊所では、介護施設での事件をはじめ、多数の窃盗事案の弁護活動を行ってまいりました。

被害者との示談交渉、治療としての入院、雇用者や親族などとの連絡、今後の更生のための手助け、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士