免職にはならかった消防士の痴漢事件

1 報道の概要

電車内で、隣に座る女性の太ももを触った消防士の男性(37)が、停職6ヶ月の懲戒処分を受けたというニュースがありました。

男性が勤務する消防局が所在する市では、痴漢行為は、免職、停職、減給のいずれかになるとされているそうですが、男性は、停職処分となりました。

男性は消防局に対し、8月には相手の女性と示談をし、不起訴となったことを報告していたものの、それは書面でなく口頭での報告だったそうです。そのため、重要な情報にもかかわらず書類で示談内容で受領していなかった消防局は、「今後は気をつける」と反省を述べています。

今回は、痴漢事件の刑事弁護と、なるべく厳しい懲戒処分を避けるようにするための活動について解説します。

 

2 痴漢事件の相場

痴漢事件は、現行犯逮捕という形で立件されることがとても多いです(今回もそうでした。)。

初犯であれば、数十万円の罰金になる可能性が高いですが、刑罰は刑罰ですので、前科が付いてしまいます。

そして、刑罰とは別に、会社や勤務先からの処分もあり得ます。特に消防士のような公務員には厳しいものが予想され、今回、市の内規でも、痴漢事件は免職、停職、減給になりうるものとされているようです。

 

3 痴漢事件の刑事弁護

男性は、免職処分とはならず、停職6か月となりました。免職処分までならなかったのはなぜでしょうか。

一番の大きな要因は、相手との示談ができ、不起訴処分になったことでは無いかと思われます。

痴漢事件は、被害者の方に謝罪をし、謝罪金を受け取って頂いたすえ、事件のことを許して貰えれば、不起訴処分になる可能性があります。

基本的には、加害者と直接することは避けられ、弁護人を通じて示談交渉は行われます。

本件では、男性が弁護人に依頼するなどして、被害者の方に謝罪を尽くしたものと予想されます。

 

4 勤務先にはどこまでどうやって報告するか

今回、詳しい経緯は分かりませんが、事件が消防局に知られてしまったようです。一つの可能性として、男性が自己申告したことも考えられます。または、消防士や警察も公務員であるところ、同じ公務員が被疑者である場合に、警察は勤務先に事件や捜査を報告する傾向にあるため、そのような形で事件が知れ渡った可能性はあります。

民間の会社であれば、会社が関係する刑事事件でなければ、勤務先まで事件報告されないことも多いですが、公務員による犯行のほうが、勤務先にばれてしまう可能性は高いところです。

そこで、どのように勤務先に刑事事件の進捗を報告するか、悩ましいところだと思います。

警察が勤務先に連絡しない可能性にかけて、何も報告しないということも考えられますが、いずれは勤務先に知られてしまう可能性があるのであれば、正直に最初からお話して誠意を示し、処分をできるだけ軽いものにしてもらう努力をすることもあり得るでしょう。報告の経緯が今回のように報道にされてしまい、世間からの厳しい目にさらされるところからも、少なくとも、事件を知られた後からは、最低限の報告はしておいた方が良いかもしれません。

今回、男性は、消防局に、示談の成立などを口頭だけで伝え、消防局は書面を受領していなかったようです。書面で受領せず反省を示したのは消防局のほうではありましたが、出来れば男性側からも、書面などで報告してあげることが丁寧だったかもしれません。

弊所であれば、示談の書面などを勤務先に提示する工夫を考え、依頼者が説明責任を果たされるためのお手伝いもさせて頂きます

 

5 痴漢事件でお困りの方はご相談下さい

会社に対してどう対応するかといった点は、本来刑事弁護の範疇を超えた範囲の問題です。しかし、弊所では、ご依頼頂いた方のご不安を少しでも解消できますよう、会社への報告などへのご相談にも乗りながら、弁護活動を進めさせて頂いております。

お困りの方は、弊所にまずご相談下さい。

 

 

執筆者・原田 大士の写真

執筆者情報

原田 大士Daishi Harada

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士