居合わせた人のスマホ動画が痴漢の「動かぬ証拠」になったとの報道!?

1 報道の概要

18歳の男性が、向かいの席で眠っていた女性(25)の太ももを、隣の男(31)が10~15分ほど断続的に触っているのに気付いたので、スマートフォンで15秒ほど動画に撮影した。その後、立ち去ろうとした犯人を引き留めて、駅員に知らせた。犯人は、逮捕直後は容疑を否認していたが、動画の存在もあり痴漢行為を認めたという。

以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。

 

2 痴漢は現行犯で逮捕するのが通常

特に電車の中での痴漢行為などの場合は、現行犯でないと逮捕が非常に困難です。後から「犯人」を見つけたとしても、必ず言い逃れされます。定期的に同じ被害者に痴漢をしていたような事案もよくありますが、これまではそういう事件のときには、捜査員が被害者を見張っていて、現実に痴漢が行われたときに逮捕するのが通常です。

 

3 録画や録音器具の発達

法律の世界でも、発達したビデオ器具や録音機器が、非常に大きな役割を果たすようになってきています。刑事事件ではないですが、上司のパワハラ的言動を、部下が録音していることなど日常茶飯事と言えます。また、駅構内での痴漢行為などの場合は、多くのビデオにより録画されていると考えた方が良いです。

ただ、今のところ電車内での録画などは、なかなか行われていませんでした。今後は今回のケースの様に、他の乗客による録画なども増えていくことが予想されます。また、電車の中に多くの録画機器が設置されることも、近い将来あり得ると思われます。

 

4 本件の弁護活動

本件は、被害者への十分な謝罪と損害賠償などが必要です。また、かなり悪質性の高い犯罪ともいえるので、今後の電車の使用制限なども、できる限り行うことが望ましいです。

被害者側との示談ができ、刑事処分を望まないと言ってもらえれば、不起訴処分もあり得る事案と考えられます。

 

5 痴漢事件を起こした方へ

当事務所では、多くの痴漢事件を扱ってきております。

検察官や被害者との交渉など被害者に安心してもらうための方策、さらには余罪への対応など、積極的にサポートをしてきております。

痴漢事件など起こした方はぜひご相談ください。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士