海外の日本人学校に派遣中に盗撮したとして、教諭が懲戒免職されたとの報道!?

1 報道の概要

福岡県教育委員会は、外国で女性のスカートの中を盗撮したとして、シンガポールの日本人学校に派遣されていた男性教諭を懲戒免職処分とした。

男性教諭は2020年4月からシンガポールの日本人学校に派遣されていたところ、今年2月、現地のショッピングモールで女性のスカートの中を盗撮したとして、現地で逮捕及び起訴された。県教委の聞き取りに対して男性教諭は「慣れない環境で仕事や家庭のストレスがあった」などと話しているという。

 

2 海外で罪を犯した場合について

まず、海外で罪を犯した場合にどうなるかについてですが、基本的には現地の法律に則って処罰され、別途日本では処罰されません。例外として、殺人など、一定の重大犯罪に限り、日本でも処罰されるケースがあります。

本件は盗撮の事案ですので、日本で改めて刑事責任が問われることはないでしょう。

 

3 盗撮に至る動機

盗撮と聞くと、性的嗜好の発露としての犯行と考える方が多いいでしょう。実際、多くの盗撮事件の当事者が、性的な思惑の下犯行に至るというのは事実です。

しかしその一方で、それ以外の理由で犯行に至る事件も決して少なくありません。本件のような、ストレスに基づく犯行というのは、その最たる例です。

元々、盗撮に対する興味関心があったのは間違いないでしょうが、本来であれば抑圧できていた欲求が、ストレスを原因に抑えきれなくなって犯行に至ったり、ストレス故に歯止めが利かなくなり何度も犯行を重ねてしまうというものです。

 

4 処罰への影響

ストレスなどの要因が介在する盗撮事件であっても、純粋な性的欲求に基づく盗撮事件と比べて軽く処罰されるといったことは、基本的にありません。

初犯であれば罰金刑で終わることが多いですが、複数回犯行を重ねれば、いずれは懲役刑を科されることとなるでしょう。

そのため、犯行を抑止するための取組みが重要となってきます。

 

5 犯行抑止の取組み

ストレスが原因の犯行の場合、自身では行動を制御しきれなくなっていることも多いため、専門家による指導ないし治療が重要となります。

性犯罪を犯してしまう人の治療を専門とする心療内科等で、医師に自身の状況を正直に話した上で、適切な治療を受けるべきでしょう。

経験則上、専門家による治療には相応の効果があるように見受けられます。ただし、気持ちが安定したので治療を受けるのを止めたら再犯してしまった、という方も少なくないので、継続的な治療が重要でしょう。

 

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執筆者情報

越田 洋介Yosuke Koshida

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士