校内健診で女児の裸を盗撮した医師を再逮捕との報道!?
1 報道の概要
医師が中学校の定期健康診断でペン型カメラを胸ポケットに入れて撮影するなどして、女子生徒を盗撮したとされる事件で、小学校でも女児の裸を隠し撮りしたとして、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)と岡山県迷惑行為防止条例違反(盗撮)の疑いで、当該医師の男(47)が再逮捕されました。
警察は、小中学生280人分の盗撮動画を確認しており、小中学校の健診で盗撮を繰り返していたとみて捜査を進めています。
医師は「健康診断という自分しか盗撮できないレアな動画を集めたかった。性欲を満たす目的ではない」などと話しています。
以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説いたします。
2 児童ポルノと盗撮の関係
今回の事件では、児童ポルノの製造と盗撮の双方が問題となってきています。
盗撮であっても、その内容によっては児童ポルノに該当することは当然といえます。違法に撮影等した動画や写真のなかには、必ずしも児童ポルノとは言えないものも含まれていると思われますが、そういう場合でも、盗撮であることは間違いないです。
ただ、これだけ件数が多い事件の場合は、警察や検察は、特に悪質なものを何件か選択して、それを立件・起訴するのが通常です。
3 職務を利用した犯罪
本件は、医師という立場を利用した犯罪です。このように、自分の職務等を利用しての性犯罪は、良く起こりえます。小学校の先生による児童の隠し撮りだとか、子供と遊ぶボランティアによる、わいせつ行為などです。
そのような、自分の立場を利用した犯罪の場合は、悪質性が高いとして、より厳しく裁かれることになります。
本件の、医師による盗撮等の事案は、正にそれにあたります。
4「性欲を満たす目的」とは?
本件で当該医師は、「性欲を満たす目的ではない」旨述べています。実は強制わいせつ罪において、以前は「性欲を満たす目的」が必要とされていました。(そのような最高裁判例もありました)
しかし、現状では事実上そのような目的は、問題視されていないのです。
本件の医師の行為が、性欲を満たす目的によるものかによって、罪の重さに違いが出て来ることはほとんど考えられないのです。
5 本件の弁護活動
本件は、小中学生の被害者が多数いる犯罪です。
このような場合は、まずは被害者に謝罪・賠償して、示談を行うことが重要になってきます。ただ、これだけ多くの被害者がいると、事実上示談等を行うことも相当難しくなってきます。(もちろん全権起訴されるわけではないが、立件される数だけでも相当数になることが予想されます。)
医師の資格を返還し、今後の二度としないようにするための治療などを受けることも、弁護活動として重要になってきます。
6 児童ポルノや盗撮事件でご心配な方は、すぐに相談ください
弊所では、多数の児童ポルノ盗撮事案の弁護活動を行ない、実務上の経験も多く有しています。
示談交渉はもとより、治療としての入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でのサポートを提供しています。
事件を起こした方は、できるだけ早くご相談いただければと思います。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士