スカートの中を盗撮した元校長が不起訴処分になったとの報道!?

1 報道の概要

女性のスカートの中を盗撮したとして、県の迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された小学校の元校長(60歳)が不起訴処分になったという報道がありました。元校長は、教育委員会の事実確認に対し、盗撮行為を認めていて、今年2月に懲戒免職の処分になっていたそうです。

検察庁は、不起訴処分にした理由を明らかにしていません。

今回は、不起訴処分になった理由を予想しながら、盗撮の弁護活動について解説します。

 

2 盗撮によってどんな罪が成立するか

元校長は女性のスカートの中を盗撮して逮捕されています。盗撮にはどんな罪が成立するのでしょうか。

相手に羞恥や不安を覚えさせるような方法でカメラを向ける行為を、各県の迷惑行為防止条例は取り締まっています。

盗撮は、この迷惑行為防止条例に違反する行為です。

スカートの中を隠し撮りするような行為は迷惑行為防止条例違反になりますが、それだけでなく、単に姿を隠し撮りする行為も、場合によっては羞恥や不安を覚えさせるような方法でされるため、迷惑行為防止条例違反になる可能性があります。

 

3 盗撮によって逮捕されるのはどのような場合?

元校長は逮捕されています。盗撮は逮捕される可能性のある行為です。

ただ、初犯で被害が1件しかないような盗撮であれば、必ずしも逮捕されるとは限らず、家宅捜査にとどまるケースも多いです。

盗撮で逮捕されるバターンとしては、①被害者や目撃者が犯行に気づき、現行犯逮捕する②被害件数が多い、再犯や余罪があるなどすることで、事件が重大で逮捕するといったものが考えられます。

①の現行犯逮捕された後、正直に事情聴取に応じれば釈放される方もいます。②の場合は、①よりも長期の身体拘束を受ける可能性が高いでしょう。

しかし、捜査に素直に協力し、ある程度捜査が終われば、外に出られる可能性が高まってきます

いずれにせよ、逮捕された際は、ご家族などと相談し、弁護人に依頼し、釈放に向けた活動をしてもらうのが良いでしょう

 

4 盗撮の処分はどれくらいになる?

盗撮は、立件した件数にもよりますが、初犯であれば、多くの場合罰金刑になります

元校長も、初めて刑事事件を立件した立場であれば、この罰金刑になる可能性がありました。

また、学校教師による盗撮事件については、警察も検察も厳しい目で事件をとらえていることも多く、元校長が同種前科を持っていれば、正式裁判の上で検察官から比較的長い期間の懲役刑を求刑される可能性もあったでしょう。

 

5 元校長が処分を受けなかったのはなぜ?

それにもかかわらず、元校長が不起訴処分となったのはなぜでしょうか。これはあくまで一つの可能性ですが、被害者との示談が整ったからではないかと予想されます。

弁護士を通じて、被害者に対して謝罪の意思を伝えるとともに、謝罪金を受け取ってもらい、今後一切接触しないなどを約束します。これが示談でする交渉や話合いです。そしてその話合いの結果、被害者に事件のことを許して貰えば、不起訴処分になる可能性が高くなるのです

被害者は、ほとんどの場合、加害者である被疑者と直接の話し合いを拒否します。

被害者に加害者がなるべく関わらない方法で、被害者の被害回復を少しでもして反省を示すために、弁護人が盾になって活動するのが示談交渉なのです

本件でも、元校長が弁護人に依頼をし、不起訴処分になった可能性があると考えられます。

 

6 盗撮事件で捜査を受けていらっしゃる方へ

弊所では、これまでも、盗撮をしてしまった方の反省の気持ちを被害者にお伝えし、数々の事件を不起訴処分にして参りました。

お一人でどうにかしようとは考えず、まずは弁護士までご相談下さい。

 

執筆者・原田 大士の写真

執筆者情報

原田 大士Daishi Harada

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士