列車内で、10代少女の胸を触ったとして男性が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
通勤時間帯で満員の列車内で、通学途中の10代の少女の胸を触ったとして、迷惑行為防止条例違反で50歳の男が逮捕されました。
少女が「痴漢です」と叫び男の腕を掴むと周りにいた女性2人も協力し男を確保しました。
列車が駅に着いた後、男はホームにいた駅員に引き渡され駆け付けた警察官に逮捕されました。
調べに対して男は「自分の体が電車の揺れで何回か触れていた。我慢できなくなり、揺れを利用して胸を触りました」と話している。
以上の事案をもとに、問題となる法的論点を解説していきます。
2 電車の揺れを利用した痴漢
本件では、電車の揺れを利用して痴漢を行っています。「利用」というよりも「言い訳」に使っているということです。
「電車が揺れたので、やむを得ず触ってしまった」という、言い訳が出来そうな気がしての犯行と言えますが、似たような事例は相当多いです。ことさら満員電車に乗って、混んでいてやむを得ないという「言い訳」を用意して痴漢するのは定番と言えます。
そのほか、ことさら手の甲で触る痴漢行為や、カバンを持っている手で触る行為などもありました。
これらは、被害者の方からすれば不自然な触り方であることは明らかであり、いずれも犯罪として立件されることになります。
3 逮捕はいつされたのか?
本件では、痴漢被疑者の身体拘束は、3つの段階で行われています。被害者と周りの乗客が本院を押さえたところ、その後駅員に引き渡したところ、最後に警察官が来て身柄を確保されたところです。
この記事では、最後の警察官のところで逮捕されたように書かれていますが、これは正しい理解とは言えないです。
現行犯逮捕は、警察官でなくても、一般の人が行うことができるからです。
本件では、被害者たちが被疑者の身体を押さえた時点で逮捕が始まっている事案と言えます。
このような逮捕の開始が何時かというのは、逮捕できる期間が決まっている(最長3日間)ので、法的にも重要な意味を持っています。
4 本件の弁護活動
本件は、被害者のいる犯罪なので、被害者にしっかりと謝罪をして、損害賠償など受け取って頂くことが重要となります。
更には、被害者に今後不安な思いをさせないように、同じ電車には乗らないといった誓約書(できれば違う路線を使うなど)を出すことも考える必要があります。
特に、逮捕・勾留されている場合などは、素早い対応によって少しでも早く釈放されるように働きかけていく必要があります。
5 痴漢事件を起こした方へ
弊所では、多くの痴漢事件の弁護を手掛けています。
検察官との交渉や被害者との交渉など、多くの経験に基づくサポートをしています。
痴漢事件などでお悩みの方の相談をお待ちしています。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士