「けがをさせるほどではなかった」と言う男が、妻の首を絞めるなどして傷害で逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
24日未明、北海道室蘭市の住宅で、40代の妻の首を絞めるなどしてけがをさせたとして、42歳の男が傷害の疑いで逮捕された。男は、自宅で妻の腕などをつかんだ上、首を絞めるなどし、けがをさせた疑いが持たれている。妻が自ら「相手ともめている、体が痛い」と通報、駆け付けた警察官がその場で男を逮捕した。警察によると、取調べに対して男は、暴行については認めているものの、けがをさせるつもりはなかったという趣旨の話をしているという。
2 「けがをさせるつもりはなかった」場合に傷害罪は成立するか
日本の法律では、故意(罪となる行為をしようという意思)がなければ罰せられないのが原則です。人を殺す故意がなければ殺人罪にはなりませんし、人を騙す故意がなければ詐欺罪にはなりません。
しかし、傷害罪は、けがをさせる故意がなくとも、暴行する故意があり、その結果として相手がけがをすれば成立します。
そのため、本件のように「けがをさせるつもりはなかった」と述べていて、仮にそれが本当だとしても、傷害罪は成立することとなります。
3 傷害罪で見込まれる処分
けがといってもその程度は区々なので、傷害罪の刑事処分もけがの程度に応じて幅広く考えられます。
もっとも、初犯で、かつ特別けがの程度が重くなければ、罰金刑で終わることが多いでしょう。
なお、罰金刑はあくまでも刑事処分であり、相手がけがの治療に要した治療費等は別途支払う必要があります。
4 傷害罪での弁護方針
傷害罪は、被害者との示談が特に有効といえます。
その理由としてまず、よほどの大けがでない限り、示談が成立すれば不起訴処分が見込まれるということがあります。
また、上述のとおり、傷害罪においては、刑事処分としての罰金に加え、相手のけがに対する治療費等を支払う必要が考えられます。そのため、治療費等を支払うのであれば、早期に示談として支払をし、それをもって不起訴処分とすることで、最終的な金銭的負担を減らすことも期待できるからです。
5 本件での対応
本件は家庭内における事件のため、上述のような金銭的補償に基づく示談とは異なったアプローチが必要となることも考えられますが、被害者による許しが得られれば不起訴処分となる見込みが高いことに変わりはありません。
家庭内の事件であっても、弁護士が間に入ることで話合いが円滑に進むことはとても多いです。
まずは弁護士への相談をご検討ください。
執筆者情報
越田 洋介Yosuke Koshida
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士