盗撮目的で小型のカメラを設置したとして、男性教員が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

横浜市の小学校に勤務する37歳の男性教員が、修学旅行の引率で訪れていた栃木県の旅館で、女風呂の脱衣所に侵入し、盗撮目的で小型のカメラを設置したなどとして、県の迷惑防止条例違反などの疑いで逮捕された。

男性には、盗撮目的で小型のカメラを設置したとして、建造物侵入と県の迷惑防止条例違反の疑いがもたれている。

「小型カメラが設置されているのを見つけた」という旅館からの通報を受け、警察が関係者から事情を聞いて調べていたところ、「盗撮の目的で侵入した」などと話し、容疑を認めたということです。

 

2 どの時点で罪が成立するか

報道内容の限りでは、本件では実際に盗撮された被害者の有無は不明ですが、仮に被害者がいない、つまり設置はしたものの盗撮目的は達しなかった場合にも罪は成立するのでしょうか。

本件のような、いわゆる設置型盗撮の事案において、どの時点で罪が成立するのかがポイントとなります。

この点、各都道府県で定められている通称迷惑行為防止条例は、盗撮目的でカメラを設置すること自体を罪として規定しています。そのため、盗撮の目的を達したか否かを問わず、カメラを設置した時点で同条例違反の罪が成立することとなります。

したがって、カメラを設置したものの、盗撮目的を達する前に発覚し、被害者がいないような事案であっても、盗撮の罪は成立することとなります。

 

3 建造物侵入罪が併せて成立することが多い

設置型盗撮の特徴の一つして、建造物侵入罪が一緒に成立することが多いことが挙げられます。

これは、本件のような女風呂の脱衣所という、本来立ち入ることが認められていない場所に立ち入った場合はもちろん、例えば男女共用の更衣室など、日常的に本人が立ち入ることができる場所でも、盗撮目的で立ち入った場合、建造物侵入罪が成立し得ます。

 

4 重く処罰される可能性もある

設置型盗撮のもう一つの特徴として、盗撮事案の中で比較すると、重く処罰される可能性があるということが挙げられます。
なぜなら、カメラを設置している間にその場所を利用した人々が被害者となるため、被害者の数が多くなる傾向にあります。

また、犯行を完遂するにはカメラを設置・回収する必要があることから、会社や学校のトイレ・更衣室等が犯行現場となることが多く、結果として顔見知りが被害者になることで、被害者の処罰感情が強くなりがちなためです。
このように、設置型盗撮は重く処罰される可能性のある事案であり、不起訴処分獲得のハードルも相応に高くなります。
不起訴処分とするには弁護士によるサポートが不可欠といえますので、盗撮をしてしまいお悩みの方は、ご相談ください。

 

 

執筆者・越田 洋介の写真

執筆者情報

越田 洋介Yosuke Koshida

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士