店内で痴漢行為をしたとして、男性を逮捕したとの報道!?

1 報道の概要

岡山県警は6日、岡山市内のドラッグストアの店内で痴漢行為をしたとして、市内在住の20代の大学生の男を、県迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕した。

男は、店内にて女性店員の後方に立ち、下半身を女性の尻に押し当てるようにして触れた疑いがあり、容疑を認めている。警察によると、女性からの被害届を受け捜査し、現場付近の防犯カメラの映像から男を割り出した。

男は「同じような行為を30回以上はした」と供述しており、近隣で同様の被害が相次いでいたことから、関連を調べている。

 

2 痴漢行為とは

痴漢行為とは、いわば俗称であり、罪としての正式名称ではありません。

痴漢行為に当たる行為については、各県で定められている迷惑行為防止条例において規制されていて、罪の名称としては「条例違反」となります。

例えば岡山県迷惑行為防止条例では下記のように定められています。

第3条 何人も、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
⑴ 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物…の上から又は直接人の身体に触れること。

このような条例が各県ごとに定められていて、痴漢行為を規制しているのです。

 

3 常習性があると罪が重くなる

痴漢行為をした場合、前記岡山県の条例では6か月以下の懲役刑か、50万円以下の罰金刑に処されます。しかし、常習性が認められると、1年以下の懲役刑か、100万円以下の罰金刑に処されることになります

ここで常習性とは、所定の犯罪を反復累行する習癖を意味すると考えられています。平たく言うと、同じ犯罪を繰り返してしまう傾向を有していることといえるでしょう。

このような場合にはその習癖ゆえに厳しく処罰することとして、刑が加重されているのです。これは、どの県の条例においてもほぼ同じです。

 

4 本件ではどうなるか

基本的に、初犯であれば、常習性が認定されることはほぼありません。

ただし、本件では被疑者本人がこれまでに30回ほど繰り返してきた旨述べていること、近隣で同様の被害が相次いでいたこと、店内での行為であれば本件同様に防犯カメラ映像等の記録が残っているであろうことから、常習性が認定される可能性もゼロとはいえないでしょう。

また、常習性が認定されなくても、これまでの余罪が立件される可能性があることから、いずれにせよ本件は厳しい処分が十分に予想される事案といえます。

 

 

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執筆者情報

越田 洋介Yosuke Koshida

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士