路上生活者に暴行した疑いで少年が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
2021年10月5日、17歳の少年が、66歳の男性に暴行したという疑いで、逮捕されたとの報道がなされました。
報道によると少年は、被害者の男性に対し、ブロックなどを投げつけたなどの疑いが持たれているようです。
報道からは定かではありませんが、このブロックが被害者に当たって怪我をしたという可能性は低そうです。
2 ブロックが「当たっていなくても」暴行罪となる?
本件で少年は、暴行罪で逮捕されています。
ここで一つ疑問として出てくるのは、ブロックが「当たっていない」のに暴行罪が成立するのかという点です。
結論としては、ブロックが当たっていなくても暴行罪が成立する可能性は十分にあるのです。
暴行罪にいう「暴行」とは、他人の身体に対して物理的な力を向けること自体をいい、接触することまでは必要ではないとされているからです。
有名な裁判例で「狭い部屋で刀を振り回す行為(接触はしていない)」も暴行にあたるというものがあります。
ですので本件も、ブロックを投げつけたというだけで「他人の身体に対して物理的な力を向けた」と言え、ブロックが実際には当たっていなくても、暴行罪が成立する可能性が高いのです。
逆にブロックが当たっていれば、通常は怪我をする可能性が高いです。そして怪我が発生していれば、暴行罪よりも重い「傷害罪」となります。
なので本件でも「傷害罪」ではなく「暴行罪」で逮捕されている以上、被害者にブロックが当たって怪我が発生した可能性は低いというわけです。
3 暴行罪が成立すると?
暴行罪の法定刑は、2年以下の懲役刑又は30万円以下の罰金刑です。
もっとも本件で加害者の少年は17歳です。少年法上、20歳未満は成人ではなく「少年」として扱われます。
「少年」は、成人のように裁判にかけられて懲役刑や罰金刑になるのではなく、家庭裁判所での「少年審判」という手続により、少年院送致や保護観察などとされることが通常です。(もっとも、悪質な事件では少年審判ではなく成人と同じように裁判にかけられる可能性もあります。)
本件でも少年は、少年審判にかけられ、保護観察や少年院送致などの処分となる可能性が高いと思います。
4 弊所でお手伝いできること
本件は少年事件ですが、成人事件同様、まずは被害者様に心から謝罪することが重要です。それに加えて謝罪金を受け取ってもらえれば、いわゆる示談が成立します。通常加害者本人の謝罪は受け付けてくれないことが多いですので、弁護士がそのお手伝いをさせていただきます。
また、今後同じことを繰り返さないように、少年本人やご家族とご相談させていただき、具体的な再犯防止策を考えさせていただきます。
その上で、示談状況や再犯防止策をしっかり裁判所に伝えることにより、少年院送致を避けると共に、何より少年自身が今後同じことを繰り返さないようなお手伝いをさせていただきます。
執筆者情報
佐山 洸二郎Kojiro Sayama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士