「高級腕時計」を盗んだとして、男が逮捕されたのと報道!?

1 事件の概要

報道によると、令和3年5月、東京・武蔵野市の時計店で「高級腕時計」24点(被害総額1230万円相当)を盗んだとして、栃木県の無職の男(26)が逮捕されました。

防犯カメラに映っていた映像によれば、深夜、誰もいなくなった店内に突如現れた同容疑者は、懐中電灯を片手にショーケースの前に立つと、バールでガラスをたたき割り高級時計を盗んで行きました。

警察の調べに対し、同容疑者は「Twitterの闇バイトに応募した。金が欲しかった」「与えられた仕事は“高級腕時計”を盗む実行犯役だった」と話し、容疑を認めているとのことです。

この闇バイトによる報酬については、交通費5000円だけとも報道されています。

また、令和3年5月には、高級時計店を狙った窃盗事件が相次ぎ、被害額は3000万円以上にのぼっていて、警視庁は、一連の事件に指示役がいるとみて、全容解明を進めています。

 

2 本件で成立する犯罪について

本件は、店に入った行為が建造物侵入罪、ショーケースを割った行為が器物損壊罪、高級時計を持ち去った行為が窃盗罪にそれぞれ該当します。

報道によればこの容疑者の報酬は被害総額に比べ実に僅少ですが、組織的な犯行として見た場合、「実行犯」という重要な役割ですので、被害額が極めて高額であることや犯行の悪質性からして、示談ができなければ、実刑となる可能性が高い事案といえます。

また、組織的な犯行かつ逮捕されたのは変えのきくSNSで募集した男で、裏には指示役の巨悪がいる可能性があるという点では、オレオレ詐欺などの特殊詐欺と似た構造を持っています。そして、本件と同様に「Twitterの闇バイト」による事件が発生しているとのことですので、今後の同種事件の抑止の観点から、裁判所においても厳しい判断が下される可能性があります。

 

3 弊所の弁護方針について

本件のような窃盗罪は、被害弁償と示談を締結することが何よりも重要になります。

これだけの「高級時計」を扱っているお店ですので、アンティークやレアな時計など多数あることが考えられますが、被害者が盗まれた時計に金銭的な評価以上に価値があると考えている場合には、被害者の処罰感情も高くなる傾向にあります。この場合には、被害弁償や示談が難航することが予想されます。

しかし、本件の事案であれば、実刑となる可能性が高いですから、仮に示談ができなくてもできる限りの被害弁償と誠意のある対応をしなくてはなりません。ご本人が難しい場合はご家族や友人知人の援助が必要不可欠となります。

当事務所は、被害者側との示談交渉はもとより、ご家族などとの連絡や連携を密に行い、できる限り実刑を回避し執行猶予となるよう弁護活動を行い、最悪でも検察官の求刑する期間よりも短縮した刑期となるよう尽力いたします。

もしご本人やご家族が刑事事件を起こしてしまいましたら、まずは当事務所までご相談ください。

 

 

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執筆者情報

下田 和宏Kazuhiro Shimoda

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士