職場の病院トイレ内に小型カメラを設置し、盗撮したとして、職員が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
北海道北見市にある病院のトイレ内に小型カメラを設置して盗撮したとして、この病院に勤める職員の男(32)が北海道迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された。
カメラがあることに気づいた女性が警察に通報したことで事件が発覚。事件のあった時間帯に不審な行動をとる男が容疑者として浮上し、警察が逮捕した。
男は取調べに対し容疑を認めていて、警察は動機や余罪などを捜査している。
2 設置型盗撮の場合の立件について
特定箇所にカメラを固定しておいて盗撮を行う設置型盗撮の特徴として、不特定多数の被害者が発生するという点があります。例えば本件ではトイレに設置されていますが、設置後に当該トイレを利用した方は、みな被害者となっていることが考えられます。
このような場合に、被害者全員について立件されるのでしょうか。
この点は捜査を担う警察の裁量によるところが多いのですが、写っている被害者全員について立件するということは少なく、大抵はその一部についてのみ立件されます。
理由としては、被害者全員を特定することは困難な一方、被疑者を処罰するという目的のもとでは一部について立件できれば十分ともいえるためです。
3 余罪取調べの対応
盗撮事件の場合、初めての犯行で逮捕されるということは稀で、大抵は複数回の犯行を重ねているうちに犯行が露見し逮捕に至ります。もちろん警察もその点は重々承知しているので、取調べは必ず余罪についても及びます。
そのような場合、余罪について正直に話すべきか黙秘すべきかという判断を迫られるのですが、これはとても難しい問題です。黙秘したことで警察からの取調べが強くなり、強制捜査(家宅捜索等)に至ることもあれば、何事もなくあっさりと取調べが終わる場合もあります。
この点は、事件化した犯行の態様や、どのような余罪を疑われているのか、どの程度警察が証拠を掴んでいると思われるかなどの事情を考慮したうえで、慎重に判断する必要があります。
4 取調べに対応するためにも弁護人は必須
このように、盗撮事件においては余罪に対する取調べへの対応が重要ですが、どのように対応すべきかご自身で判断することは困難でしょう。
経験のある弁護士であれば、状況を精査のうえで少しでもよい方向へ向かうように、対応方針についての助言をすることができます。
それによって、その後の強制捜査の有無や、最終的な処分も変わってくる可能性がありますので、盗撮事件で警察から捜査を受けている方は、まずは弁護士にご相談ください。
執筆者情報
越田 洋介Yosuke Koshida
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士