女性アスリートの盗撮動画を販売したとして、男が起訴されたとの報道!?

1 報道の概要

女性アスリートの性的な盗撮動画をインターネット上で販売し、名誉を傷つけたとして、千葉地方検察庁は、名誉毀損罪で千葉県市川市の男性を略式起訴しました。千葉簡裁は同日、罰金50万円の略式命令を出しました。

起訴状などによると、男性は2018年11月~21年3月にかけて、20代の元バレーボール選手の下着などが透けて見える動画を、「この作品はフィクションです」などの文言を添えてアダルトサイトで販売し、選手の名誉を傷つけたとされています。

 

2 名誉棄損罪の捜査、刑事処分等

名誉棄損罪は、人の外部的(社会的)名誉を棄損した場合に適用され、法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。

大会や試合など、撮影が認められている場所で、観客として入場し、写真を撮るだけでは、刑事罰を科すことはできません。(「無許可での写真撮影禁止」などとされている会場で撮影行為を行えば、建造物侵入罪等で摘発することも可能です。)そのため、試合中に、服装が乱れてしまったところや、身体の一部を拡大して撮影するような行為が横行し、また、一部には、それをインターネット上で拡散したり、売買されるに至りました。

そこで、撮影行為自体を摘発することは困難でも、それを拡散したり販売することが、名誉棄損に当たると判断し、今回の摘発に至ったものと思われます。

被害者にとっては、性的羞恥心を覚えるもので、非常に深い傷を負いますが、法律的には決して重い罪ではなく、通常は、在宅捜査から罰金刑というのがほとんどです。ただ、今回のような事件ですと、ほぼ間違いなく家宅捜索は行われますし、当面は注目度の高い事件として、報道される可能性も高いと思います。

悪質性は、被害者の属性、拡散した件数、拡散の方法などにより、今回は罰金ではあるものの、その上限額の50万円が科されていますから、悪質と判断されたものと思われます。

 

3 弁護活動

まずは、被害の拡大を防ぐために、拡散した媒体の削除、消去、回収などが最優先です。その後、被害者が少数であれば、個々の被害者との間で示談をする必要がありますが、あまりに人数が多い場合は、現実的に厳しい場合もあります。感情的にも応じてもらえない場合が少なくないと思われます。

贖罪寄付なども活用しながら、経緯や事情を説明し、検察官と交渉の上、より軽い刑事処分を目指して活動するべきでしょう。

また、自首によって軽微な処分に留めたり、そもそもの立件を避けられる場合もあります

報道リスクの高い事案ですので、お早めにご相談ください。

 

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執筆者情報

石崎 冬貴Fuyuki Ishizaki

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士