高齢女性からカードを盗み、現金を引き出した少年が逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
高齢女性からカードを盗み現金を引き出したとして、高校2年生の少年(17)が、窃盗の疑いで逮捕された。警察によると、少年はほかの人物と共謀し銀行協会の職員をかたって京都市の女性(82)からキャッシュカード6枚を盗み、ATMで現金約120万円を引き出して盗んだ疑いがもたれている。調べに対し、少年は容疑を認めていて、警察は組織ぐるみの犯行とみて特殊詐欺グループの実態解明を進めている。
以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。
2 オレオレ詐欺
高齢者を狙い、親族に成りすましてお金をだまし取るような詐欺事件は、相当以前から行われています。これらは非常に重く処罰されていますが、一向に減少しません。
さらには、この詐欺をアレンジした犯罪も多く出てきています。本件では、現金を取るのではなく、恐らくカードを見せてくれと言って出させて、そのまま盗ってきてしまったのだと思われます。被害者がカードを相手に渡すつもりはなかったことから、「詐欺」ではなく「窃盗」とされたのでしょうが、基本的にはオレオレ詐欺と同じ犯罪と言えます。
3 オレオレ詐欺事件の罪の重さ
本件の犯人はまだ少年です。おそらく、犯罪組織の上部のものに、良いように利用されたに過ぎないと思われます。銀行からおろした金銭についても、ほとんど分け前を得ていない可能性もあります。
たとえそうだとしても、本件の犯人の法的責任は非常に重いものが予想されます。被害弁償が出来なければ、少年事件として少年院に行くことになる可能性が高いです。
本件一軒だけならまだしも、他に余罪が多く出てくれば(このようなオレオレ詐欺の事件では、その可能性は相当高い)、全てと示談するのは金銭的にも困難であり、少年院に行く(場合によっては刑務所に行く)ことになりそうです。
4 本件の弁護活動
被害者のいる犯罪なので、まずは被害賠償と示談を、被害者と行うことが大切になります。さらに少年事件なので、現在の本人の状況(普通の高校生がこのような形の犯罪を行うことはあまり考えられない)を勘案して、更生のための手助けを行うことが必要となってきます。
当事務所では、複数のオレオレ詐欺事件に関与した少年について、少年院に行くことを阻止できた事案もあります。
5 窃盗・詐欺事件を起こした方は、すぐにご相談ください
弊所では、オレオレ詐欺事件を含む、多数の窃盗及び詐欺事案の弁護活動を行ってまいりました。
被害者との示談交渉、治療としての入院、親族との連絡、今後の更生のための手助け、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士