万引きをした男が、強盗致傷の疑いで逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

北海道札幌市で、あめ2袋を万引きした男性(85歳)が、声をかけた警備員に暴行したとして、強盗の現行犯で逮捕されたとのニュースがありました。

警備員は、男性が、レジ袋にあめ2袋を入れ支払いすることなく店に出たのを目撃し、男性に声をかけたそうです。すると、男性は声をかけた警備員に向けて、持っていたレジ袋(ビール缶6本入り)を振り回し、逃走を図ったそうです。

警察の取調べに対し、男性は、「あめは盗っていない。暴力も振るっていない。」と容疑を否認しているとのことです。

今回は、この報道が事実であることを前提に、強盗事件の弁護活動について解説します。

 

2 なぜ万引きした人が強盗になるのか?

万引きというと、もっとも典型的な窃盗罪の行為です。しかし、今回男性は、「強盗」の現行犯として逮捕されています。窃盗よりも、強盗の方が重い犯罪であることは周知だと思いますが、なぜ男性は、強盗の罪に問われているのでしょうか。

法律では、窃盗をした人が、盗った物を取り返されそうになるのを防いだり逮捕を免れたりする目的で暴行を働いたときは、事後強盗罪というものが成立すると定めています。万引きした人が店を出ただけでは、まだ窃盗罪にしかならないのですが、その後、逮捕から逃れようとして人に暴行を加えれば、事後的に「強盗」になってしまうのです。

今回の事件では、男性にはまさにその事後強盗罪の容疑がかかっていると言えます。

 

3 容疑を否認することの難しさ

今回男性は、「あめは盗っていない。暴力も振るっていない。」と容疑を否認しています。しかし、暴力を振るわれた可能性のある警備員自身が、男性を現行犯逮捕しています。警備員に話を聞けば、「あめを盗っていた。暴力を振るわれた。」と警備員は供述するでしょう。その場面を目撃していた人や、防犯カメラの映像などが残っている可能性もあります。そのような中、容疑を否認し続け無罪を勝ち取ることは、かなりハードルが高いでしょう。

 

4 強盗事件の弁護活動

強盗事件で、被疑者の方が容疑を否認し続けるのであれば、弁護人は、その意思を尊重し、それが真実であると、誠実に弁護活動をします。

しかし、強盗罪はそもそもかなり重たい罪です。そして、暴行で相手を傷つけていれば、強盗致傷罪といって、さらに重い罪にも問われます。

ですから、証拠や状況から言い逃れすることは出来ないとお考えになって、自分が強盗をしたことを認めた上で、反省の意思を表し、示談交渉を弁護人に依頼する方はよくいらっしゃいますし、それが非常に賢明なご判断と言える場合は多いです。

強盗で逮捕されても、起訴前に示談を成功させれば不起訴処分になることも期待できますし、成功したのが起訴後であっても、執行猶予付きの判決を取りやすくしてくれます。

強盗罪では、盗んだ物の持ち主や管理人だけでなく、暴力の被害者も含めて、示談のお相手として交渉していくことになるでしょう。

 

5 窃盗事件を起こしてしまった方はご相談下さい

弊所では、強盗事件だけでなく、万引き、すり、置き引きなど、あらゆる窃盗事件を扱って参りましました。

強盗であろうと、窃盗であろうと、示談交渉等、求められる弁護技術は共通しており、弊所弁護士には、豊富な経験があります。

お悩みの際はまず、弊所にご相談下さい。

 

執筆者・原田 大士の写真

執筆者情報

原田 大士Daishi Harada

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士