「文句言われ腹立った」男性の胸ぐらをつかんだ犯人が逮捕との報道!?

1 報道の概要

歩道で72歳の男性の胸ぐらを掴むなどしたとして男が逮捕された。男は去年、自転車で走行中の車の前に急に飛び出し、急ブレーキをかけさせたとして執行猶予付きの有罪判決を受けていた。警察によると、被害者の親族が車を運転中、自転車で飛び出してきた容疑者とトラブルになり、被害者が相談に乗っていたところだったとのこと。

容疑者は、「自転車に乗っていただけなのに文句を言われたことに腹が立った」などと容疑を認めている。

以上の事件をもとに、問題になりそうな諸点を解説します。

 

2 暴行事件での逮捕

傷害に至らない暴行事件の場合、多くの場合は逮捕までされる事案は少ないです。身柄確保するまでの必要性がないと判断されることが多いためです。

ただ、本件では、事件の悪質性に加え、同種事件での執行猶予中であることも考慮されて、逮捕にまで至ったものと考えられます。

 

3 執行猶予中だと何が違うのか?

執行猶予中に犯罪を行った場合、基本的には起訴されて実刑判決が出されることになります。その場合、前回の執行猶予も取り消されるので、今回の刑と合わせて、2つ分の罰を受けなくてはなりません。

再度の執行猶予もあり得ますが、基本的には同種事案での再犯の場合はまず認められません。当事務所でも、これまで何度か再度の執行猶予を取ったことはありますが、基本的には別種の犯罪(前回が窃盗、今回が交通事犯といった感じ)の場合です。同種の犯罪で、再度の執行猶予を取ったのは、万引き事案について2件あるのみです。

本件は、実刑判決となる可能性が非常居高い事案と考えられます。

 

4 弁護活動の内容

同種犯罪での執行猶予中の犯罪であり、起訴されたらまず実刑判決になる可能性が高いのは既に述べたとおりです。今回のような暴行傷害事件では、被害者への弁償が一番の弁護活動になります。被害者が許してくれる(少なくとも処罰を望まないと言ってくれる)なら、罰金刑で終わらせてもらえる可能性も出てきます。

弁護人を通して、どれだけ真摯な謝罪と賠償ができるのか、今後の再犯を防ぐために、どれだけ真剣な対応が取れるのかが、本件では重要になってきます。

 

5 暴力行為をしてしまったという方は、すぐにご相談ください

弊所では、暴行罪や傷害罪など様々な暴力事案の弁護活動を行ってまいりました。 

自首の同行、被害者との示談交渉、治療としての入院、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士