3か月前に漢方薬を盗んだとして女性を逮捕したとの報道

1 報道の概要

ドラッグストアからダイエットに効果が期待できるとされる漢方薬を盗んだとして、45歳の無職の女が逮捕された。店員が棚卸作業をしている際に在庫の数が合わないことに気付き警察に届け出たことで事件が発覚。防犯カメラなどを調べるなかで女の容疑が浮上し、その後逮捕されした。調べに対して女は「自分で使う目的だった。飲んでしまった」などと容疑を認めているとのこと。警察は女の責任能力の有無も含め調べることにしている。

以上の事案をもとに、法的に問題となる点を解説します。

 

2 3か月前の万引きで逮捕されるのか?

これまでは、万引きは現行犯でないと逮捕されないと言われていました。これは、事実上証拠を確保するのが困難なことからで、相当程度疑わしい人がいても、現行犯を押さえるしか手がなかったということです。

しかし、近時の防犯カメラの発達により、この点が大きく変わってきました。カメラに写っていた犯人を、後から逮捕するような事例も最近はかなり出てきています。

 

3 棚卸で万引きなど発覚するのか?

本件は、棚卸をしていて、商品が足りないことから万引きが発覚したとされています。このように、棚卸によって犯行が分かることもよくあります。銀行などでも、金庫の中の現金をチェックして、行員による持ち出しが発覚したような事案もよく認められます。

 

4 責任能力の有無とは?

万引き事犯の場合、捜査機関側が責任能力の有無を調べることはそれほどありません。弁護側が、クレプトマニアなどの病気であると主張しても、「それを治療するのが刑務所です」などと言われてしまいます。(実際に、当事務所の弁護士が検察官から言われた言葉です。。。)

本件で、責任能力まで調査するということから考えると、ビデオに写っていた犯行態様が、かなり異常に見えたのではないかと考えられます。

 

5 本件の弁護活動

本件では、被害店舗のある犯罪なので、まずは示談交渉が大切になってきます。大手チェーン店は、なかなか示談に応じてくれませんが、少なくとも商品の対価を受け取ってもらうだけでも、処罰は大きく違ってきます

また、クレプトマニアの疑いもある場合には、入院措置などの治療行為も、弁護活動として非常に意味を持ってきます。当事務所では、万引きで執行猶予中に、万引きの再犯を起こした事案で、入院措置などの対応を取ることで、再度の執行猶予を獲得した事例が2件あります。

 

6 窃盗事件を起こした方は、すぐにご相談ください

弊所では、多数の万引き事案の弁護活動を行ってまいりました。

被害者との示談交渉、クレプトマニアの治療としての入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士