3か月で2度”同じ家”に窃盗目的で侵入との報道
1 報道の概要
農家の住宅に窃盗目的で侵入したとして逮捕された会社員の30歳の男が、同じ農家の車庫に駐車していた車から現金を盗んだとして再逮捕された。 男は本件が発覚する前に、同じ家に窃盗目的で侵入し、住人の男性と鉢合わせとなり、住居侵入の疑いで逮捕されていて、警察が余罪を捜査する中で今回の容疑が浮上した。約3か月で少なくとも同じ家に2度窃盗目的で侵入していたことになる。警察はさらに余罪を調べている。
以上の事案をもとに、問題となる法的論点を解説します。
2 同じところに入るなんてあるの?
同じ家にわざわざ窃盗に入るなど、普通の人には考えられないことですが、こういうケースはわりに広く認められます。特に詐欺罪などの場合は、一度騙された人は、「だまされやすい人」だと認定されて、何度も詐欺犯に狙われます。
窃盗の場合も、盗みやすい人や家はあるので、目を付けられると複数回の犯行がなされる可能性があります。
3 余罪の捜査とは?
本件は、前の事件についての捜査で、自供したから逮捕されたものと言えます。ただ、警察は近隣で同一・類似手口の犯行があった場合には、どうしても余罪を追及します。かなり厳しく追及されるので、普通の人は黙っていることは非常に難しいです。
また、場合によっては警察が何かしらの証拠(ビデオ映像など)を握っていることもあります。
4 余罪について黙秘したらどうなるの?
他の証拠がない場合には、余罪について黙秘すれば、怪しいとは思われても、それ以上の捜査は非常に難しいです。おそらく、逮捕されることもなく、起訴もされません。余罪の処罰が加わらないなら、処分も比較的軽く済むことも間違いないです。
余罪がある場合、弁護人としても被疑者にどのようにアドバイスするのかは悩ましいところです。嘘をつけとは絶対に言えないのですが、「黙秘権」を言う法的権利を説明するのは当然に許されています。ただ、ここで平気で黙秘できる人は、かなりの常習性のあるプロの犯罪者であり、また同じような罪を犯すのではと思えてくることも事実です。
5 本件の弁護活動
本件では、余罪については黙秘権を説明せざるを得ません。それが弁護士の職務義務だからです。ただ、ビデオなどの証拠があれば、反省していないということで余計罪が重くなるというリスクも合わせて伝えることになります。
また、今回の空き巣のような被害者のいる犯罪では、被害者への謝罪と弁償が一番の弁護活動になります。2回も被害にあっていると、被害者もなかなか許してくれませんが、犯人の親族からそれなりの賠償金を用立ててもらえれば可能性は出てきます。犯人自身にお金がない場合、罪に問えても賠償金は受け取れません。それよりは、相応のお金をもらった方がよいと、被害者を説得するのです。
6 窃盗事件を起こした方は、すぐにご相談ください
弊所では、余罪の多数ある空き巣事件など、様々な形態の窃盗事件の弁護活動を行ってまいりました。
被害者との示談交渉、クレプトマニアの治療としての入院、親族との連絡、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士