痴漢した2人の警察署員、その処分の違いについて

1 概要

警視庁は、泥酔状態で、JR駅前で女子大生(20)の尻を触ったとして現行犯逮捕された警察職員を停職1カ月の懲戒処分とした。巡査部長は同日、退職した。

また警視庁は、路上で女子高生の下半身を触ったとして強制わいせつ罪で起訴された警察職員を懲戒免職とした。逮捕後、署内のロッカーに別の女子高生の学生証などが入った定期入れを保管していたことも分かった。出勤途中に拾ったもので、警視庁は遺失物横領容疑で追送検した。

以上の事案をもとに、問題となる法的論点を解説します。

 

2 2つの痴漢事件の違いは何か?

お尻に触ったとされる事件では、1か月の停職処分とされるにとどまりましたが、下半身に触ったとされる件では、懲戒解雇とされています。おそらく前者はせいぜい罰金刑で終わった(示談ができているなら、不起訴の可能性も十分にある)のに対して、後者は起訴されて正式裁判となっています。確かに、後者の事件では、拾った定期券を持っていたということはありますが、それ自体はそれほど重い罪ではありません。(遺失物の横領であり、窃盗等とは罪の重さが違う)

後者の罪が重くなったのは、女性の下半身に触ったのが、人気のない路上であり、前者の駅前とは状況が違うことが大きいと思われます。また、前者の場合は、泥酔しており、痴漢についての故意が強く認められがたいという事情もあったものと推察されます。

 

3 懲戒免職の要件は?

公務員は労働者としても、法律で守られています。本人が無罪を主張している場合は、有罪が確定するまでは、懲戒処分は行いません。本件では、本人が罪を認め、有罪となる可能性が高いと判断されたため、有罪確定を待たずに懲戒解雇とされたものと思われます。駅の職員の電車内の痴漢事件で、鉄道会社が解雇としたのが無効とされた判例などもありますので、懲戒解雇をする側もかなり慎重に行うことは間違いありません。

 

4 本件の弁護活動

今回の痴漢事件のような被害者のいる犯罪では、被害者への謝罪と弁償が一番の弁護活動になります。特に強制わいせつ事件では、罰金刑の定めがないので、示談ができないと起訴されることになります。なお、強制わいせつ罪については、法律改正が、親告罪から外れたので、示談して告訴を取り下げてもらうというわけにはいきません

しかし、初犯の場合、示談が行われれば、不起訴となる可能性は非常に高くなることは間違いありません。さらに、被害者に脅威を与えないための引越しや、今後性犯罪を起こさないように病院での治療なども、積極的に行うように働きかけるのも弁護士の仕事と言えます。

 

5 痴漢事件を起こした方は、すぐにご相談ください

弊所では、迷惑行為防止条例違反の痴漢から、要請わいせつ罪まで、様々な類型の犯罪事件の弁護活動を行ってまいりました。

自首の同行、被害者との示談交渉、治療としての入院、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士