「高額バイト」をネットで探していた専門学校生が、79歳男性宅でカード盗み、逮捕されたとの報道!
1 報道の概要
79歳の男性からキャッシュカード5枚を盗んだとして、窃盗の疑いで、大阪府寝屋川市の専門学校生の少女(18)が警察に逮捕されたとの報道があった。男性と妻の口座から現金計130万円が引き出されていたという。逮捕容疑は8月22日、金融庁職員をかたって芦屋市の男性宅を訪れ、カード5枚を盗んだ疑い。容疑を認めている。警察によると、少女が訪れる前、男性宅には警察官などを名乗る人物から「あなたの口座から出金されている」「カードを封筒に入れて保管する必要がある。金融庁の職員を向かわせる」と電話があった。少女は男性に対してカードを封筒に入れさせ、別の封筒とすり替えたとみられる。少女はツイッターに「高額なバイトはないですか」と書き込んでいたといい、少女に「受け子」役を指示した人物がいるとみて警察は調べている。防犯カメラ映像などから少女を特定したという。
以上の事案をもとに、問題となる法的論点を解説します。
2 詐欺と窃盗の違い
本件のような事案は、通常「オレオレ詐欺」など、詐欺罪とされることが多いです。しかし本件は、詐欺ではなく、窃盗罪とされています。この辺は、細かい法律的な理屈からこのようになったものといえます。詐欺の場合は、被害者が相手に渡すつもりで、被害品を交付する必要があります。本件では、仮に預けるつもりでカードを渡したところ、それを少女がすり替えた。そのすり替えたところをとらえて、詐欺ではなく、窃盗罪としたものと思われます。
3 受け子の刑罰
オレオレ詐欺のような事案では、受け子という、単純な下っ端も非常に重い刑を科されます。こういう受け子の場合、被害額に比べて、貰える分け前は非常に小さいです。それでも、被害額をほぼ全額返済しないと、実刑判決がなされる可能性が非常に高いです。
本件では、被疑者は18歳と未成年ですが、少年院に行く可能性が非常に高い事案だといえます。
4 弁護活動の内容
今回の窃盗のような軽犯罪では、被害者への謝罪と弁償が一番の弁護活動になります。被害者が許してくれる(少なくとも処罰を望まないと言ってくれる)なら、一般の事件なら不起訴処分で終わる可能性は十分にあります。今回のような少年事件でも、少年院に行かずに、保護観察などで終わることも十分にあり得えます。
また、本件では、「高額報酬」を求めてネットに記載するような生活態度にも大きな問題があります。その辺にまで踏み込んで、本人の更生を助けていけば、道が開けることも可能です。(ただ、本件の他にも余罪が多数出てくると、事実上少年院に行かずに済ますのはかなり困難となってきます。)
5 窃盗・詐欺などをしてしまったという方は、すぐにご相談ください
弊所では、詐欺、窃盗、横領等、様々な形態の財産犯罪の弁護活動を行ってまいりました。また、少年事件についても、多数の経験があります。
自首の同行、被害者との示談交渉、治療としての入院、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士