サッカー選手がDV発覚で逮捕との報道!?

1 報道の概要

サッカー選手(26)が交際相手へのDVで逮捕されていたと発表された。サッカー選手は交際女性に対して日常的に暴行を働き、ビデオ通話の画面越しに包丁をつきつけて3時間にわたって罵倒したこともあり、最終的に傷害罪容疑で逮捕された。当該選手は以前にも、別の女性への暴行事件で逮捕されている。ネットでは、《「包丁を振り上げる」って完全に一線を越えていると思います。もはや単なるDV事件ではなく、完全な殺人未遂事件》といった声も上がっているとのこと。

以上の事案をもとに、問題となる法的論点を解説します。

 

2 画面越しに包丁を振り上げた罪は?

本件では、ネットでのやり取りのときに、包丁を振り上げています。このような行為は、何の罪に該当するのでしょうか? 

ネットの声では、殺人未遂などとまで言われています。しかし、現実に向き合って、包丁を振り上げた場合であっても、殺そうという意思がなければ、殺人未遂罪にはならなないのです。まして本件は、WEBでのやり取りとのことなので、殺人未遂は考えられません。

さらに、WEB越しの行為であることを考えると、被害者の身体に有形力が行使される可能性もありません。そうすると暴行罪も考え難いです。

本件に関しては、恐らく脅迫罪が認められることになると考えられます。

 

3 何故傷害罪になるのか?

今回の件では、傷害罪で逮捕されたと報道されています。しかし、WEB越しの行為で怪我をさせることは考え難いです。おそらく、他のDV行為をとらえて、傷害罪での逮捕がなされたものと思われます。

 

4 本件の弁護活動

今回の暴行傷害のような犯罪では、被害者への謝罪と弁償が一番の弁護活動になります。被害者が許してくれる(少なくとも処罰を望まないと言ってくれる)なら、一般の事件なら不起訴処分で終わる可能性は十分にあります。

おそらく、以前の被害者への暴行事件でも、相手方との示談が行われた結果、前科は付かずに終わったものと考えられます。

ただ、本件のような長期にわたる悪質な犯行の場合、示談を行うことも簡単ではありません。示談ができない場合、良くて罰金刑、悪くすると正式裁判で懲役の前科が付くことが予想されます。(さすがに初犯であるなら、執行猶予は付きますが。)

 

5 暴行傷害事件を起こした方は、すぐにご相談ください

弊所では、様々な形態の暴行傷害事件の弁護活動を行ってまいりました。

自首の同行、被害者との示談交渉、治療としての入院、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士