社長による盗撮が発覚したホテルが廃業するとの報道

1 報道の概要

ホテルの社長が女性客を盗撮した疑いで逮捕されたことなどを受け、経営を続けることが困難となり、ホテルを譲渡する前提で休業に入ったとのこと。なお、当該社長は、既に別件の強制わいせつ容疑で逮捕されており、さらに過去の盗撮事件が発覚したことで、今回の逮捕に至ったものである。なお、被疑者は、「盗撮はしていない」と容疑を否認しているとのこと。 

この報道から、法的にポイントとなる点を説明していきます。

 

2 職場内での盗撮事件

今回の盗撮事件は、ホテルのトップが顧客に対して行ったということで、かなり異常なものと言えます。しかし、会社の従業員が、同僚を盗撮したり、女性トイレにカメラなどを設置して、女性従業員や顧客を盗撮するような事件は、比較的よく起こります。これらは、発覚すると、会社にとっても非常に大きなダメージになります。

当事務所で対応した事件でも、他の盗撮事件で逮捕された被疑者が、自分の勤務先である店舗の女性トイレにカメラを設置して、盗撮していた事案がありました。ただ、このような事件が明確になると、罪のない店舗には取り返しのつかないダメージが生じます。本件では、店舗の盗撮は立件しないという対応を、警察も取ってくれました。

なお、今回のホテルの事案は、会社のトップの犯行ということもあり、警察としても見逃すことができなかったのだと思われます。

 

3 盗撮が後から発覚する場合

盗撮事件は、基本的には現行犯として捕まるのがほとんどです。例えば、電車内の盗撮で、スマホの中に、他の盗撮写真も多数見つかったなどという事案は非常によくあります。ただ、それらの余罪は、事実上立件されません。被害者の特定が困難ということもあるし、同種事案なので、逮捕された盗撮事案の常習性などを判断するのに使用すれば十分という考えがあるからだと思われます。

これに対して、職場での盗撮写真などが後から発見された場合は、立件される可能性も十分に出てきます。被害者の特定も可能ですし、電車内での盗撮に比べて、悪質性が高いと考えられるからです。

 

4 どの様な弁護活動が有効か?

本件では、被疑者は盗撮を否認しているようです。もちろん冤罪事件の可能性もありますから、慎重に話を聞く必要があります。その一方、盗撮の明らかな証拠があるにもかかわらず、根拠のない否認を続けているのなら、本人にとって不利になります。その場合は、自分の置かれている立場をよく理解してもらうのも、大切な弁護活動です。

また、盗撮事件は被害者のいる犯罪ですから、被害者の方と、しっかりと示談をする必要があります。さらに、常習性のある様な犯行の場合は、二度としないということを分かってもらうため、入院行為など含めて、相当の努力が必要となります。

 

5 盗撮で逮捕されてしまったという方は、すぐにご相談ください

弊所では、これまでも、職場等での盗撮事案についても、非常に多くの弁護活動を行ってまいりました。 

自首の同行、被害者との示談交渉、贖罪寄付、再犯防止のための措置、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士