食料品を万引きした医師の男が逮捕されたとの報道

1 報道の概要

スーパーマーケットで、食料品を万引きしたとして医師の男が逮捕されたとの報道がありました。握り寿司やお菓子など2736円相当の食料品など7点を万引きしたとのことです。

この医師は、過去にも万引きで捕まったことがあるということです。容疑者は警察の調べに対しては「よく覚えてないのでわかりません」と容疑を否認している旨、報道されています。

以上の事件をもとに、問題になりそうな諸点を解説します。

 

2 万引き事犯の特徴

万引き事件は、圧倒的に女性により起こされています。痴漢や盗撮事件は、ほとんど男性によって起こされているのと対照的と言えます。

女性の常習的な万引き犯の場合、拒食と過食を繰り返すような精神的に不安定な方が多く、万引きの対象もお菓子など食料の場合が多いと言えます。これは、犯罪であると同時に病気でもありますので、他の点では非常にしっかりした人でも、万引きを繰り返すことがよくあります。

今回は、医師という立場の、男性が起こした事件という意味では、かなりまれな事案と言えます。以前にも起こしていたということなら、何か精神的な問題があることも予想されます。

 

3 「よく覚えていない」との否認について

本件で医師の男性は、よく覚えていないと発言しているそうです。おそらく、この人にとっての本心なのでしょう。ただ、警察の取り調べにおいて、「よく覚えていない」などと発言すると、事件を「否認」しているものと判断されます。事件を認めていたなら、逮捕勾留の必要性なしとして釈放されるような事案でも、否認となりますと、長期間の身体拘束を受ける可能性が高くなります。この点は、一般の方はあまり知らない点ですが、注意が必要です。

 

4 弁護活動の内容

このような事件の場合、まずは身体解放を急ぐ必要があります。本件も、逮捕されなかったら、新聞報道されなかったかもしれません。その意味でも、逮捕勾留を避けることは非常に重要です。そのためには、「よく覚えていない」といった供述はしないように、弁護士の方から指導していきます。別に嘘をつく必要はありません。「よく覚えていませんが、目撃証言などをお聞きすれば、自分がやったことに間違いありません。罪を認め、賠償などできる限りのことを致します」と話せば済むことです。

万引き等窃盗事件は、被害者のいる犯罪ですから、示談も重要になります。本件でもスーパーに賠償し、できれば寛大な措置を希望してくれるよう働きかけるのも、弁護士の役割です。

さらに、このような常習的な万引き事件は、「病気」としての側面も強く持ちます。そこで、入院のアレンジなども行い、これ以上社会に迷惑をかけないように治療することで、刑事処分を軽くするように目指すことも、大切な弁護活動になるのです。

 

5 万引き等窃盗をしてしまったという方は、すぐにご相談ください

弊所では、これまでも、万引き等多くの窃盗事件の弁護活動を行ってまいりました。 

自首の同行、被害者との示談交渉、治療のための通院・入院の手配、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士