酔った男が女性に乱暴したうえ、警察官の職務妨害をしたとの報道

1 報道の概要

女性を投げ飛ばし、顔を蹴るなどの暴行を加えて怪我を負わせたうえ、警察官にコップの水をかけて職務執行を妨害したとして、傷害と公務執行妨害の疑いで男性が逮捕されたとの報道がありました。

男性は、傷害については黙秘し、公務執行妨害については「警察官が勝手に水をこぼしただけだ」と、容疑を否認しているとのことです。男性は犯行前、飲食店で酒を飲んでおり酔っていました。

この報道から、暴行傷害罪や公務執行妨害罪について、ポイントとなる点を説明していきます。

 

2 酔っぱらっての暴行傷害事件

酒に酔って暴力をふるうような事件は、本当に多数起きています。当事務所でも、何件も弁護活動を行ってきました。駅でけんかになり相手を殴り倒した事件、店の扉を蹴破り店員さんを殴った事件、電車内で暴力をふるった事件、タクシー運転手を殴った事件、駅員さんに暴言を吐いたのち蹴りつけた事件など、本当にたくさんの事件があります。

こういう事件で、まだ酔っているときに警察官が来た場合、そのまま警察官にも暴言を吐き、暴行をすることもよく起こります。「酒の上」の事件ではありますが、だからと言って許してはもらえません。

 

3 酔いが覚めて、事件を覚えていないときの対応

お酒に酔っての犯罪の場合、酔いが醒めた時には覚えていないことが良くあります。気が付いたら留置場にいたなどという事案です。こういう時には、つい正直に「酔っていて何も覚えていません」などと言ってしまいますが、そうしますと事件を「否認」したということになります。逮捕勾留の可能性が高まるのです。

本当に事件を覚えていなくても、警察官から事件を聞いて、証人も多数いることが明らかなら、できるだけ早く罪を認めることが大切です。

そのうえで、被害者様へのお詫びと賠償、今後の再犯防止のための措置など、責任ある大人として対応を考えないといけません。そういう責任ある態度をとることが、ひいては刑事処分にも有利に働くことになるのです。

 

4 公務執行妨害の重大性

本件では、警察官に水をかけた点が、公務執行妨害罪に問われています。なんとなく、「その程度のことで。」と思ってしまいそうです。ただ、水をかける行為は、人に対する不法な有形力の行使ですから、「暴行」には間違いありません。それにより、取り調べという公務を妨害していますから、公務執行妨害罪の成立は間違いないのです。

公務執行妨害罪が厄介なのは、被害者は水をかけた警官ではなく、「公務」だということです。個人への暴行傷害なら、その被害者と示談ができれば不起訴などにできます。しかし、公務執行妨害罪の場合は、警官と示談しても、必ずしも刑事上の処分には関係ないと言える点です。

「酔っていたから」では、済まされない、深刻な事態も起こりえます。

 

5 暴行傷害や公務執行妨害事件をしてしまったという方は、すぐにご相談ください

弊所では、これまでも、非常に多くの暴行傷害事件はもちろん、公務執行妨害事件に関しても、弁護活動を行ってまいりました。 

自首の同行、被害者との示談交渉、贖罪寄付、再犯防止のための措置、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士