登校中の女子児童に痴漢!刑罰はどうなるの?

1 報道の概要

令和2年6月1日の朝、長崎県大村市水田町の路上において、登校中の女子児童が男から体を触られるという痴漢事件が発生しました。長崎県警によると、犯人の特徴は、若い男性、中高生風、小柄、黒色ズボン、白色スニーカー、黒色手提げカバンを持っていたとのことです。長崎県の不審者情報にも掲載されています。

このように、登下校の児童を狙う痴漢行為は度々問題となっております。このような痴漢案件について、刑罰がどのようになるか、解説していきます。

 

2 痴漢は行為態様によって、二つの罪名に該当します

痴漢は、行為態様によって、「強制わいせつ罪」か「各都道府県の迷惑行為防止条例違反」に該当します。強制わいせつ罪の方が刑罰は重い犯罪ですので、痴漢の態様や程度が重いと強制わいせつ罪となります。

例えば、長時間身体を触り続ける、衣服の下や下着の中まで触った場合は強制わいせつ罪、短い時間衣服の上から触った場合は迷惑行為防止条例違反にそれぞれ該当する可能性が高いといえます。

強制わいせつ罪は、「6ヶ月以上10年以下の懲役」が科されます。罰金刑はありませんので重い犯罪であることがわかります。

例えば、神奈川県迷惑行為防止条例違反の場合は、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、常習の場合は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」になります。

痴漢事件の処罰の重さは、犯行態様や時間、暴行脅迫の有無や程度、被害者の処罰感情の大小、突発的な犯行なのか計画的な犯行なのか、同種前科前歴があるか(常習性があるか)などの事情が考慮されて決められます。

 強制わいせつの場合は逮捕までされる可能性が高いですが、迷惑行為防止条例違反の場合には逮捕までされないケースが多いといえます。

 

3 登校中の女子児童への痴漢行為はどの程度の刑罰か?

上記の記事には詳しい行為態様の情報がないため、断定はできませんが、被害児童が13歳未満の場合には、暴行脅迫がなくてもわいせつな行為をすれば強制わいせつ罪が成立します(13歳以上の者に対しては暴行脅迫を用いてわいせつな行為をする場合に強制わいせつ罪となります。)。

 強制わいせつ罪で逃亡までしてしまったケースでは、逮捕勾留は避けられないといえます。

そして、被害者の年齢、行為態様、計画性、常習性などから悪質と判断された場合には、強制わいせつ罪として正式な裁判(公判手続き)となり、有罪と判断されてしまいます。

有罪となれば前科となります。 

 

4 早期に弁護士が示談交渉を進めていくことが最良の手段

強制わいせつ罪は、上述のように逮捕の可能性が高く、その後、20日間勾留されて警察に拘束される可能性も高いです。

そうなってしまうと、社会復帰が遅れ、ますます生活が苦しくなります。

また罰金刑もありませんので起訴されれば正式な裁判となります。

しかし、被害者又は被害者の保護者との間で、示談が成立すれば、不起訴となり前科がつかない可能性も十分にあります

多くの被害者は弁護士が入らないと示談交渉には応じないといいますので、経験豊富な弁護士を選任し、早期に示談交渉を求めていくことが最良の活動となります。事実関係を争わない自白事件では、起訴されてしまうと有罪はほぼ確定してしまうので、起訴されるまでの時間との勝負となります。

当事務所は、これまで、多数の示談・不起訴処分を獲得しております。

もしご自身やご家族が痴漢で逮捕された場合は、当事務所までご相談ください。

 

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執筆者情報

下田 和宏Kazuhiro Shimoda

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士