職場内の更衣室に小型カメラを設置し、盗撮してしまったら…
1 盗撮行為(神奈川県県迷惑行為防止条例違反)で略式命令による罰金と、それによる懲戒処分の報道
神奈川県横浜市は、2020年6月4日、職場内の女子更衣室に盗撮目的で小型カメラを仕掛けたとして、神奈川県迷惑行為防止条例違反(卑わい行為の禁止)の罪で罰金30万円の略式命令を受けた戸塚区所属の男性技術職員(46)を停職10カ月の懲戒処分にしたと発表しました。当該職員は、同日付で依願退職したそうです。
市に発表によりますと、当該職員は、被害者の女性職員が、昨年11月14日にカメラを発見するまで、7回程度撮影。戸塚署の現場検証中に出頭し、今年1月に条例違反などの容疑で書類送検されていたとのことです。また、市の聴取に対し、これ以前にも、更衣室のパーティションの隙間から、スマートフォンで6回程度盗撮したという余罪があると説明しています。
2 盗撮行為の刑事処分は?
盗撮行為は、通常、都道府県の迷惑行為防止条例違反で処罰されます。女子更衣室や女子トイレなど、立ち入ることができない場所に侵入して盗撮した場合は、建造物侵入罪も同時に問われる可能性があります。
一般的には、初犯であれば20万円~30万円の罰金となることが多いですが、画像を転売していたり、特定できた被害者が多く処罰件数が増えると、正式裁判などより重い処分も考えられます。
3 盗撮行為による懲戒処分は?
一般的には、犯罪行為そのものだけでなく、最終的な刑事処分(起訴か不起訴か、罰金か懲役か)などによって、人事上の処分は異なります。公務員の場合、不起訴(起訴猶予)でも何らかの処罰はありえますし、禁固刑以上であれば、執行猶予が付いても自動的に失職します。
本件では、停職10か月となっていますが、まさに、懲戒免職一歩手前だったといえるでしょう。
4 罰金刑、懲役刑、逮捕などを避けるために弊所でできるお手伝い
弊所では、このような盗撮行為のケースで、出来る限り刑事処分や人事上の処分を軽くするためのお手伝いをさせていただいております。
盗撮事件では、基本的に、被害者との示談が重要です。また、示談と言っても、単純に民事上の解決をするのではなく、被害届を取り下げたり、「刑事処分を求めない」といった示談書を取り交わすなど、刑事処分を軽くするための対応が必要です。また、被害者との交渉が満足にいかない場合などは、検察官との交渉が重要になることもあります。
まず被害者との示談については、とにかく誠意をもって謝罪の意思をお伝えすることが重要です。その上で、事件場所に近寄らないなど、生活圏行動圏の変更を行い、安心してもらう必要があります。最終的に、損害賠償金、示談金を受け取ってもらい、刑事処分を軽くするための協力をしてもらえないか依頼します。
被害者対応が終われば、あとは、検察官と交渉をし、出来るだけ刑事処分を軽くしてもらえないかどうか交渉します。
被害者と示談が成立し、処分について軽くする方向での意見をもらえれば、通常は、不起訴(起訴猶予)になることがほとんどです。不起訴は、起訴されない=懲役や罰金など刑事罰を受けないことを指し、前科がついてしまうことを避けられることになります。
また、不起訴となった場合、それを踏まえての人事上の処分も軽くなる可能性がありますし、懲戒委員会などの聴取の際に、弁護士から意見書を出すこともできます。
今回のケースでは、おそらく被害者と示談ができなかったものと思われますが、弁護士が適切に動き、被害者と示談できれば違う結果になっていたかもしれません。もちろん、余罪の有無などで、示談しても罰金になる可能性もありますが、ベストを尽くすことは重要でしょう。
5 盗撮行為をしてしまったという方は、すぐにご相談ください
弊所では、これまでも盗撮行為の弁護は多数担当しています。
すでに警察での捜査が進んでいる場合は、弁護活動により示談する必要がありますし、仮に発覚していない場合は、自首することも可能です。ご不安な方は、現状を問わず、すぐにご相談ください。
自首の同行、被害者との示談交渉、検察官との交渉まで、あらゆる面でサポートをさせていただきます。
この記事は、横浜パートナー法律事務所の弁護士が令和2年6月11日現在の知識・経験をもとに執筆しています。
執筆者情報
石崎 冬貴Fuyuki Ishizaki
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士