執行猶予をつけて欲しい
執行猶予とは
執行猶予とは、有罪判決で刑を言い渡された被告人に対して与えられる、刑の執行を一定期間猶予する制度のことです。そして、その執行猶予期間中に他に罪を犯さなければ、言い渡された刑を消滅させ、刑務所に行かなくてもよくなります。
例えば、「懲役1年執行猶予3年」という判決が言い渡された場合、3年間は刑務所に行かずに普通の生活を送ることができ、その期間中に罪を犯さなければ、刑罰の効力は失われ、この罪で刑務所に行くことはなくなります。
しかし、この執行猶予期間中に再び罪を犯してしまうと、再び犯した罪の刑罰と猶予されていた分の刑罰(先ほどの例だと「懲役1年」)が合わせて科せられることになります。
なお、執行猶予も有罪判決には変わりありませんので、前科としては残ります。
執行猶予を獲得するには
執行猶予付きの判決を得るためには、弁護士の働きかけが必要不可欠です。
被害者がいる事件の場合、弁護士は被害者との示談を成立させたり、情状について被告人に有利になる証拠を集めたりして、裁判官に対して執行猶予を付けるよう主張します。
被害者がいない場合は、被告人の事情や、被告人が社会の中で更生できるということを強く訴えます。それらの証拠を集めて裁判官に主張することで、執行猶予の獲得を目指します。
刑事事件の多くは自白事件、つまり犯罪自体には争いがない事件ですので、多くの被告人やそのご家族にとって執行猶予付きがつくかどうかが最大の関心事だといえます。
執行猶予の獲得を目指す場合、早期に弁護士に相談することが重要です。できるだけ早期に事件に着手することで、十分な準備をもって裁判(公判)をむかえることが可能となります。まずは弁護士にご相談ください。
執筆者情報
大山 滋郎Jiro Oyama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士