盗撮画像をインターネット経由で譲り受けたところ、家宅捜索を受けた事例。罪名:性的姿態等撮影罪

1 事案の概要

相談者は、SNS上で知り合った人物から、インターネット経由で、女性の下着を盗撮した画像を譲り受けたところ、警察から家宅捜索を受けるに至ったものです。

当該画像は画像を提供した人物が自ら撮影したもので、撮影行為は性的姿態等撮影罪違反となるものであったが、児童ポルノ禁止法には違反しないものでした。

 

2 性的姿態等撮影罪により変わった点

本件で家宅捜索を受けた相談者は、盗撮画像を譲り受けただけであり、これは、社会倫理上の問題はさて置き、法的には問題とならない行為です。そのような相談者が家宅捜索を受けたのは、性的姿態等撮影罪によって新たな刑事罰の対象が設けられたことが関係しています。

従来、盗撮に関しては各都道府県の迷惑行為防止条例によって規制されており、そこでは撮影行為のみが刑事罰の対象とされています。

しかし、性的姿態等撮影罪が新設されたことで、①盗撮画像を他人に提供すること、②提供する目的で保管すること、③盗撮行為をライブストリーミングすること、④ライブストリーミングされている盗撮行為の映像を記録することも新たに刑事罰の対象となっています。

本件でいえば、相談者に画像を譲り渡した相手方は、盗撮画像を他人に提供したとして、性的姿態等撮影罪違反となるのです。

 

3 相手方の捜査の一環としての家宅捜索

そして、盗撮画像を他人に提供したかを捜査するにあたっては、提供側の記録媒体や通信記録だけでなく、受け取った側の記録媒体等も確認されることがあり得ます。提供側と受け取った側双方の記録を確認することで、犯罪の成立を立証できるからです。

本件における相談者も、提供した人物の捜査の一環として、家宅捜索を受けるに至ったわけです。

 

4 盗撮画像を譲り受けることの危険性

このように、盗撮画像を譲り受けてしまうと、場合によっては家宅捜索される事態となり得ます。自身は罪に問われないとはいえ、家宅捜索されること自体、避けたいことでしょう。

近年、盗撮行為は厳罰化の傾向にあり、今後は盗撮行為そのものだけでなく、盗撮画像を提供する行為等も厳しく取り締まられることが予想されます。

すると、今回のように盗撮画像を譲り受けた側が、提供した者の捜査の一環として家宅捜索を受けるという事態が増加することもあり得ます。

このような点を考えれば、盗撮画像を譲り受ける行為は、犯罪にならないとしても、非常の危険性の高い行為であるといえます。

もし他人から盗撮画像を譲り受けてしまった場合には、家宅捜索を避けるために自ら警察に申告することも考えられます。

もっとも、警察に申告すべきか、申告するとしてどのように申告すべきかなどは、事案に応じて異なってきます。

盗撮画像を譲り受けてしまい不安に思っている人は、まずは弁護士に相談ください。

 

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執筆者情報

越田 洋介Yosuke Koshida

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士