繰り返し盗撮したとして、男性に有罪判決との報道!?
1 報道の概要
絵画教室の教え子を盗撮したなどとして、児童ポルノ禁止法違反(製造)と大阪府迷惑防止条例違反の罪に問われた元絵画教室経営者の男性の裁判が20日に大阪地裁であり、懲役1年6カ月・執行猶予3年の判決が言い渡された。裁判官は判決理由として「被害者の信頼に乗じた卑劣で悪質な犯行。複数の教え子の盗撮を繰り返しており、常習性も認められる」と述べた。
判決によると、男性は2021年5月ごろ、府内の教室で児童の着替えの様子を携帯電話で動画撮影し、保存して児童ポルノを製造した。また、22年11月~23年3月ごろ、府内のホテルのトイレや学校などで計7回、スカートの中などを撮影したという。
2 児童ポルノ禁止法違反の処分傾向
児童ポルノ禁止法は、主に、児童ポルノを製造、提供、所持することを禁止している。
同法に違反した場合、処分としては、罰金刑か懲役刑が選択される。
単純に所持していただけの場合、初犯であれば、罰金刑となる傾向が強い。この場合、裁判とはならず、書面上の手続のみで完結する。一方で、製造や提供を行っていた場合、態様にもよるが、初犯であっても公判請求され、裁判となった上で懲役刑となることも少なくない。
3 盗撮行為の処分傾向
盗撮行為については、これまでは各都道府県における迷惑防止条例によって取り締まられてきた。処分としては、初犯であれば、罰金刑となる事件が大半であった。
性的姿態等撮影罪の施行日以降は、基本的に盗撮行為は同法によって取り締まられる。同法では、条例に比べて厳しい法定刑が定められており、今後は厳罰化するとの見通しもある。
もっとも、現時点では、処分傾向が厳しくなった様子は、明確には見受けられない。すなわち、性的姿態等撮影罪違反であっても、初犯であれば罰金刑となる可能性が高い。
4 本件について
本件では、男性の前科前歴は明らかでない。
しかし、本件の罪が児童ポルノの製造であること、自身の立場を利用した悪質な犯行であること、複数回の行為が認められること、別途盗撮行為も行っていたことを考慮すれば、初犯であっても、公判請求され懲役刑となったことはおかしくはない。
5 弁護活動について
児童ポルノ禁止法違反も盗撮行為も(本件のように両者ともにある場合も)、被害者との間で示談するなど、適切な弁護活動を展開することで、公判請求を避けられたり、または不起訴処分で終えられることもある。
公判請求された場合、一般に公開された法廷で審理を受ける必要があり、また本件のように報道に至る可能性もあるため、社会生活への影響は甚大である。そのため、公判請求を回避するための弁護活動は、非常に重要となる。
早期の段階であれば、十分な弁護活動を展開する余裕があり、よりよい処分結果につながりやすい。
同様の行為をしてしまい悩んでいる方は、まずは弊所まで相談してほしい。
執筆者情報
越田 洋介Yosuke Koshida
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士