アスリートに対する盗撮を罰する法の成立を求める動きについて

1 昨今の状況

性的部位や下着を盗撮する行為を全国一律で取り締まる「性的姿態撮影罪」を新設する法案が今国会に提出されています。一方でスポーツ界が撲滅へ声を上げ、逮捕者も相次ぐアスリートへの迷惑撮影は「ユニホームの上からの撮影であり、性的意図の線引きが困難」として置き去りにされた状況であることから、アスリートたちから法整備の必要性を訴える声があがっています。

 

2 盗撮行為の処罰

現状も盗撮行為は処罰されています。ただしこれは、国の法律による処罰ではなく、各地方公共団体の条例に基づくものに過ぎません。従って、都道府県ごとに、処罰行為の内容も、刑の重さも違っています。

こうした中、国の法律として一律に、盗撮行為を取り締まるための法律の制定が求められていました。これが、「性的姿態撮影罪」と言われているものです。

 

3 性的姿態とは何か?

ただ、今回の法律で取り締まることができるのは、あくまでも性的な盗撮です。盗撮の典型例である、スカートの中にカメラを入れて下着を撮影するような行為は、当然に取り締まりの対象になります。ことさらに人の胸や臀部を撮影するような行為も、対象になるはずです。

しかしこれでは、アスリートの写真を撮影するような行為までは、取り締まりがなかなか難しいと言えます。アスリートが活躍している姿を、「性的姿態」であるということはできないからです。

 

4 迷惑な撮影行為

アスリートへの撮影は、報道カメラマンなどが当然に行っています。中には、見方によっては性的に映る写真なども撮影されることはあり得ます。しかしそれを犯罪行為とするのは妥当ではありません。そうだとすると、正に犯罪とそうでない行為の線引きが難しい事案であることは間違ありません。

筆者はかつて、小学校の運動会の写真について、質問を受けたことがあります。学校がHPなどで上げている、運動会における生徒の写真のうち、「良さそうなものを集めてコレクションにするのは、犯罪になりますか?」という質問でした。非常に怪しい行為ではあるが、既に発表されているものを集めただけで、犯罪になるともいえません。アスリートの写真でも同じようなことは出来そうです。そう言った中、迷惑な撮影として、何を処罰の対象とするのかは、非常に難しい問題といえます。

 

5 盗撮に関する今後の立法

線引きが難しいのは確かでも、今後はアスリートの盗撮など、さらに厳しく規制されていくことは間違ありません。これまでは犯罪ではなかった行為が、犯罪とされ、取り締まりの対象となることは十分にあり得ます。

当事務所では、盗撮や痴漢など、多くの性犯罪系の弁護活動を行ってきました。相手方との示談、検察官との交渉など、一番良い結果となる様に、できる限りの弁護活動を行います。盗撮事案で刑事処分を受ける恐れのある方は、是非ご相談下さい。

 

執筆者・大山 滋郎の写真

執筆者情報

大山 滋郎Jiro Oyama

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 代表弁護士