職場のトイレで撮影したとして、県迷惑行為等防止条例違反の疑いで男性が逮捕されたとの報道!?

1 事件の概要

報道によると、令和4年5月20日ごろ、自らが経営する会社事務所にある屋外トイレで、40代の女性を小型カメラで撮影したとして、福島県迷惑行為等防止条例違反の疑いで、福島県矢祭町の会社役員の男(44)が逮捕されました。

警察は、被害にあった女性から届け出を受けて、盗撮に使われた小型カメラなどを調べたところ、同容疑者の犯行が明らかになったとしており、同容疑者は容疑を認めているとのことです。余罪についても調査中とのことです。

 

2 本件で成立する犯罪について

本件のような「盗撮」についての罰則は、各都道府県の「迷惑行為防止条例」に定められています。

各条例によって細かい内容や表現は異なりますが、概ね共通しているところでは、「住居、トイレや浴場などの通常衣服を脱ぐような場所または公共の場所」にて、「下着または身体の一部」を、「のぞき見する行為、撮影する行為、撮影目的でカメラ等を差し向ける行為、または撮影目的でカメラを設置する行為」を禁止しています。

注目すべき点としては、実際に撮影はしていなくても、カメラ等を差し向ける行為または設置する行為も盗撮とされていることです。つまり、撮影に失敗した場合や撮影した画像等が残っていなかったとしても、撮影行為に及んだ時点で条例に違反したことになります。

本件は、被害者が撮影されてしまったようにも読めますが、仮に撮影されていなかったとしても小型カメラを設置した段階で条例違反となっていたといえます。

 

3 職場での盗撮行為

職場のトイレにカメラを設置する盗撮事案というのは少なくありません。

本件のように自らが会社経営者の場合もありますし、従業員の方が設置する事案のご相談も受けることがあります。

職場内での盗撮事案は、当然ですが、加害者も被害者も顔見知りのケースが多く、被害者の特定も比較的容易ですので、カメラやデータとして残っている余罪についても立件されてしまうケースがございます。

また刑事処分の結果にかかわらず従業員であれば懲戒解雇など重い処分をくだされてしまいます。

 

4 もし逮捕されてしまったら

本件は逮捕されていますので、まずは勾留されないよう身柄解放の手続きをとる必要があります。逮捕から勾留までは通常1~2日しかありませんので、時間との勝負です。勾留されてしまうと少なくとも10日~20日は出られず、余罪などがあればその期間はさらに延長されてしまいます。

また、最終的に不起訴を得られるかどうかは、被害者と示談ができるかどうかによりますので、早期に弁護士が間に入って被害者の方との示談交渉を行う必要があります。

なお、余罪が複数見込まれる事案では、加害者側の経済的事情も加味して交渉を行う必要がありますので、そのあたりも含め早期に専門家である弁護士に方針について相談することが必要です。

 

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執筆者情報

下田 和宏Kazuhiro Shimoda

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士