トイレの構造を確かめたかっただけ?! 女子トイレに侵入した男が逮捕されたとの報道
1 報道の概要
島根県の出雲署は5月20日、出雲市の自営業の男(49)を建造物侵入の疑いで現行犯逮捕した。逮捕容疑は、正当な理由なく出雲市内の書店の女子トイレに侵入した疑い。
今月に入り書店の客から「盗撮されているかもしれない」と複数相談があった。張り込んでいた署員が同日、不審な男が女子トイレに入っていくのを見つけ、出てきたところを取り押さえた。
同署によると、男は「トイレの構造を確かめたかっただけだ」と容疑を否認しているという。
2 盗撮の相談だけど建造物侵入で逮捕
本件、事の発端は盗撮の相談があったことです。逮捕当時も、被疑者が女子トイレから出てきたことから、実際に盗撮していた可能性もあります。
しかし、逮捕容疑は建造物侵入でした。これは、盗撮していたかは実際に捜査してみないと明らかでない一方、建造物侵入については現場を現認したため、罪の成立が固い建造物侵入で逮捕したということです。
3 盗撮の罪についてはどうなるか
このように、まずは成立の固い建造物侵入で逮捕したのであって、盗撮の罪に問われないわけではありません。
盗撮についても捜査はされ、十分な証拠が揃えば盗撮についても立件されるでしょう。
特に、このような場合には所持しているPCやスマートフォンの中身も捜査され、そこから証拠が発見されることも考えられます。また、その過程において、盗撮の罪で再逮捕される場合もあり得ます。
4 最終的にはどうなるか
本件のような場合、起訴される場合には、建造物侵入で起訴、盗撮の罪で起訴、両方で起訴の三択と考えられます。
盗撮について十分な証拠が揃えば、建造物侵入と盗撮の罪で起訴されることが考えられ、証拠が揃わなければ建造物侵入のみ起訴されることも考えられます。
また、もし本人が罪を認め、素直に犯行について話をして反省が認められるような場合、盗撮の罪のみ起訴して、建造物侵入については起訴せずに終えるという処分もあり得ます。
5 不起訴で終えるには
仮に盗撮していた場合でも、盗撮について素直に認めた上で被害者との示談等が成立すれば、建造物侵入も含めて不起訴処分となることも考えられます。
盗撮について否認していても建造物侵入で起訴される可能性が高いわけですから、盗撮について認めた上で示談成立を目指した方がよい場合もあります。
このような事案では、詳細な事情を踏まえ、どのような対応をとるべきか検討する必要がありますので、早期に弁護士に相談すべきでしょう。
執筆者情報
越田 洋介Yosuke Koshida
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士