電車の中で下半身を押し付けたとして男性が現行犯逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
学校から帰宅途中だった女子大生(18)の下半身に自分の下半身を押し付けた疑いで、神奈川県市職員男性(44)が現行犯逮捕されたという報道がありました。男性は電車内で犯行に及んだそうで、女子大生が「痴漢です」と言ったことで近くの男性に取り押さえられたそうです。
今回は、痴漢事件の処分と弁護活動について解説します。
2 下半身を押し付けたら痴漢になるのか
痴漢は一般に、各県が定めている迷惑行為防止条例違反として取り締まられています。
男性は今回、電車内で下半身を押し付けたとして取り押さえられています。報道では明らかではありませんが、さすがに電車の中であれば、男性が下半身を露出することまではなかったでしょう。
そのような場合であっても、迷惑行為防止条例違反になる可能性が高いです。今回問題になった神奈川県迷惑行為防止条例を見ると、被害者が着ている服の上から身体を触っても条例違反になり得ます。また、相手に羞恥や不安を感じさせるような方法でこれを行えば条例違反になり得ます。
今回の事件では、たとえ着衣状態であっても、相手の下半身に自分の下半身を押し付けており、相手が羞恥を覚えるような仕方で相手の身体に触れているといえますから、条例違反になる可能性は高いでしょう。
3 どんな処分をうけてしまうのか
条例違反であっても、犯罪になってしまうので、刑が確定すれば前科も付いてしまいます。
こうした警察沙汰が初めてということであれば、罰金で済む可能性もありますが、再犯ということであれば、正式裁判の上で、検事から懲役刑を求刑されてもおかしくありません。
4 関係法令
以下に、痴漢事件を取り締まっている神奈川県迷惑行為防止条例を引用します。
●第3条1項1号
(卑わい行為の禁止)
第3条 何人も、公共の場所にいる人又は公共の乗物に乗つている人に対し、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 衣服その他の身に着ける物(以下「衣服等」という。)の上から、又は直接に人の身体に触れること。
●第15条1項
(罰則)
第 15 条 第3条の規定に違反した者は、1年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金に処する。
5 痴漢事件の弁護活動
痴漢の疑いで男性は現行犯逮捕されてしまいましたが、事件を認めており、取り調べにも応じる姿勢を見せていれば、釈放される可能性もあります。
もっとも、身体拘束が長引く場合もあり、そういった場合では、弁護人はご家族の協力を得ながら、男性が釈放されるように弁護活動を行います。
また、痴漢事件の弁護活動にとっては、示談交渉が大変重要です。被害者に対し、弁護士から本人の謝罪の意思を伝え、謝罪金を支払い、事件について許してもらうことが目標となります。示談が成功すれば、不起訴となり、刑罰もうけず、前科もつかない可能性が高いです。
本件の被害者は18歳の女子大生です。もう少し低い年齢の方が被害を受けると、示談の話し相手はご両親になることも多いのですが、本件であれば、被害者自身の可能性が高いと言えます。
6 示談金の相場
よく、示談金はどれくらいの金額を準備しておけばよいのか、相場はいくらくらいなのかと質問されることがあります。
正確なことを言えば、示談金は、被害者の方の気持ち次第というところがあり、一概にこの金額を用意すれば示談が成立するという金額はありません。
また、被害の程度や痴漢の仕方次第で、謝罪金として支払うべき金額も変わってくるでしょう。
ただ、あくまで一般論ですが、初犯の痴漢事件の示談金は、30万円から50万円が相場であるとも言われます。
7 痴漢事件にお悩みの方は弊所までご相談下さい
弊所では、数多くの痴漢事件の弁護活動をさせて頂いた経験があります。
ご家族や自身が起こした事件にお悩みの方は、まずは詳しい事情をお話に、ご来所相談にいらして下さい。
執筆者情報
原田 大士Daishi Harada
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士