駅構内で盗撮をしたとして、停職3か月の懲戒処分を受けたとの報道!?
1 報道の概要
自衛隊員の40代の2等陸曹(男性)が、駅構内で盗撮をしたとして、停職3か月の懲戒処分を受けたという報道がありました。
報道によれば、男性は2020年5月20日、駅構内で盗撮をし、翌21年4月に県迷惑防止条例違反の疑いで摘発されたそうで、「ストレス解消と性的欲求を満たすためにやった」と供述して、事件を認めているらしいです。
身勝手とも思える動機にもかかわらず、男性は起訴されておらず、刑事罰に問われていないそうです。
今回は、この報道を題材に、盗撮事件の弁護活動について解説します。
2 自衛隊員に成立する可能性のある罪など
盗撮は各県が定める迷惑行為防止条例違反になり、犯罪になりえます。各県によって法定刑などは異なりますが、おおよそ初犯の盗撮行為は、罰金相当の刑が下ることが一般的です。
男性は、ほぼ一年前の事件について摘発されています。1年も経てば、もう事件がバレることもないのではないかと思う方もいらっしゃるかと思います。しかし、一概にそうとは言えません。
もちろん、後日逮捕を恐れるなどして本人が自首をしたり、他の事件を取り調べている際に事件が発覚した可能性もあります。
ただ、被害者が当時盗撮されていることに気づいていて、被害届を出したうえ、被疑者の服装や言動に一定のパターンや特徴があれば、およそ1年にたって捜査の手が本人まで届くことは、十分あり得ます。
3 なぜ自衛隊員は刑事罰に問われなかったのか
盗撮行為は、懲役刑にならなかったとしても、罰金刑にはなりうるような犯罪行為です。
それにもかかわらず、自衛隊員が刑事罰を受けず、起訴すらされていないのはどうしてでしょうか。弁護士の視点から、一つの可能性を予想してみます。
本件では、男性と被害者との間で示談された可能性があり、それによって不起訴不処罰になった可能性があります。
盗撮事件については、被害者に謝罪の意思を示し、謝罪を形にする意味で謝罪金を支払うという弁護活動がもっとも重要です。被害者は、基本的には弁護士を通してしか話をしてくれません。そのため、弁護士を介して謝罪をしていく形になるのです。
謝罪のうえ、被害者の方に事件のことを許してもらい、合意書に署名してもらえれば、高い確率で不起訴になり、刑罰にも問われないでしょう。
本件でも、このような示談交渉が成立した可能性が高いといえます。
4 なぜ停職3か月で済んだのか
自衛隊員は、非常に強い社会的責任を負っており、盗撮などすれば、懲戒処分も相当なものを覚悟しなければならないことは明らかです。
それでも、本件で男性は停職3か月の懲戒処分で済み、解雇までにはなっていません。
このような比較的軽い処分でおさまっていることからも、男性が被害者との示談に臨み、しっかりと反省を形にした可能性がうかがえます。
5 盗撮事件を起こしてしまった方はご相談下さい
弊所弁護士には、盗撮や痴漢の示談交渉に、幅広い経験があります。
示談をしっかりとすることで、懲戒処分が軽くなる可能性も出てきます。
被害者にしっかり謝罪するため、少しでも働いてる会社に誠意を示すため、弊所まで刑事弁護をご相談下さい。
執筆者情報
原田 大士Daishi Harada
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士