消防署職員が痴漢行為で不起訴になったものの、懲戒処分を受けたとの報道!?
1 報道の概要
佐野市消防本部は、信用失墜行為をしたとして、31日付けで40代の男性職員を停職6カ月の懲戒処分にしたと発表した。
男性職員は非番だった去年12月2日に電車内で女性に対し衣服の上から体を触る痴漢行為を行い埼玉県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されたが、示談が成立し不起訴処分になっていた。
2 痴漢行為に成立する罪
本件のように、衣服の上から体を触るような程度の痴漢行為については、刑法ではなく各都道府県の条例で規制されています。したがって、成立する罪も条例違反の罪となります。
一方、衣服の中に手を入れたり、相手を無理やり押さえつけて触るなどの態様の悪質な行為については、強制わいせつの罪が成立する場合があります。
3 示談で不起訴
本件は被害者との間で示談が成立したことによって不起訴になったとありますが、これは特別なことではありません。
被害者のいる事件においては、被害者の処罰感情が事件の処分を左右する重要な要素となるため、示談が成立すれば不起訴処分となる余地は十分にあります。
4 不起訴でも懲戒処分
本件では刑事処分については不起訴となりましたが、別途、懲戒処分が科されています。懲戒処分は刑事処分とは別次元の問題であり、基本的に行った非違行為に照らして科されるものなので、刑事処分を免れたとしても懲戒処分までは免れないのが一般的です。
特に、本件のように被疑者が公務員の場合、事件が報道されることが多く、そして報道により世間が事件を知るに至った以上、職場としても懲戒処分をせざるを得なくなるという事情もあります(民間企業の場合、逮捕されても特殊な事情が無い限り報道まではされず、会社にも知られないことが一般的です)。
もっとも、被害者に謝罪と弁償をして示談した事実や、本人の反省と再犯防止への取組等を、懲戒処分を検討するに際して考慮するよう申し入れることは可能であり、それにより懲戒処分の内容が変わる可能性もあります。
弁護士であれば、重要な事実に基づいた効果的な申入れを行うこともできますので、事件を起こしてしまい、勤め先からの懲戒処分が不安であるという方は、弊所までご相談ください。
執筆者情報
越田 洋介Yosuke Koshida
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士