スーパーマーケットの万引きで、女が現行犯逮捕されたとの報道!?
1 報道の概要
スーパーマーケットで、ガムなどのお菓子を合わせて6点(販売価格計756円)を万引きしたとして、49歳の女性が逮捕されたとの報道がありました。ガムなどをバッグに入れ、レジを通さず店の外に出たところを警備員が目撃しており、女性を現行犯逮捕したということです。女性は、容疑を認めているとのことです。
今回は、この事件を題材に、万引き事件の弁護活動について解説します。
2 万引き事件の逮捕のパターン
万引きは、窃盗罪にあたる犯罪で、逮捕される可能性もあることは、報道のとおりです。
では、万引きは、どのような流れを経て逮捕されてしまうのでしょうか。
第1に、今回のように、警備員などの目撃者が一部始終を見ており、現行犯逮捕されるケースが考えられます。第2に、目撃者や、被害者である店舗が警察署に相談し、そこから店舗の防犯カメラなどを確認することで、後日逮捕されるケースが考えられます。
スーパーマーケットは、大きい所であれば毎日といっても過言でないほど万引き被害にあっています。その被害数に比べると、第1や第2の流れを経て逮捕されるケースは決して多くありません。
例えば、第1の流れのように目撃者がいても、今回のように1000円程度の万引きであれば、まずは窃盗犯を呼び止めた上で、店舗の奥などで話を聞いて反省してもらうくらいの処置で済む事も多いです。今回のケースは、女性がスーパーマーケットで複数万引き等の行為をして目を付けられていたために、逮捕という強硬手段を受けてしまった可能性もあるところです。
しかし、一度万引きをしてしまうと、第2の流れを通じ、店舗や目撃者の対応次第で逮捕されるリスクは一定程度残ります。被害額が大きかったり、万引き被害が複数であれば、そのリスクは高まります。そして、万引きした側からそのリスクをうまくコントロールしていくことは難しいというのも事実です。
3 逮捕前の万引き事件の弁護活動
万引きをすれば、逮捕されるリスクが残ってしまいます。このリスクを、万引きをした加害者側から減らすことが出来る手段が、自首です。
事件や犯人が捜査機関に発覚する前に、捜査機関に対して自分の罪を認めて報告すれば、自首として扱ってもらえます。被害合計額が本件くらいの事件(お菓子などを盗んで1000円弱)であれば、証拠などを持参した上で自首をした者を、警察がわざわざ逮捕することはないでしょう。
ただ、万引きで自首をする場合、被害品が多く窃盗の経緯が複雑だったり、証拠が既に消費されていたりすると、事実を正確に報告して事情を説明するのも、一人では難しい部分があります。また、自首自体、一人でするにはとても勇気が必要です。
そこで、弊所の弁護士などは、自首報告書を作成し、逮捕をしないでもらうよう掛け合うなど、自首をお手伝いさせて頂いております。
4 逮捕されてしまった万引き事件の弁護活動
とはいえ、本件の場合のように、警備員に現行犯逮捕されてしまえば、逮捕のリスクを下げる努力ではなく、まずは逮捕から被疑者を解放する弁護をしなければなりません。そこで例えば弁護人は、勾留を阻止するための活動や、勾留に対する抗議を行い、なるべく早く、被疑者を外に出す活動を行います。
そして、万引きをした被疑者への刑事処分を免れるために、弁護活動に取り組みます。最も重要な弁護活動は、示談交渉になります。被害者が店舗(会社)の場合、まずは弁護士を通じて謝罪と被害弁償をすることが第1ステップとなります。そして、相手が店舗(会社)であるためハードルは高いですが、出来れば謝罪金も受け取ってもらった上で、店舗に許しの一筆を貰うことが第2ステップになります。
第2ステップまで示談交渉が上手くいけば、不起訴処分で済むことも十分あるでしょう。
このように、万引き事件では、逮捕前、逮捕後、処分段階でそれぞれ、弁護活動が重要な働きをします。万引き事件は一人でお悩みにならず、弁護士に相談されることをお勧めいたします。
執筆者情報
原田 大士Daishi Harada
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士