交際相手の飼い猫に対し暴行を加えケガをさせたとして、男が逮捕されたとの報道!?

1 報道の概要

今年9月、愛知県の住宅で交際相手の女性の飼い猫に対し暴行を加えケガをさせたとして、32歳の男が逮捕された。男には、猫を壁に叩きつけ椅子に押し付けるなどの暴行を加えケガをさせた動物愛護管理法違反の疑いがかけられている。猫は全身打撲、右肺挫傷などのケガをしていたが、手術を受けて回復に向かっているという。交際相手の女性が猫を連れて行った動物病院が「虐待の疑いがある」と警察に通報したことで事件が発覚した。

 

2 動物を虐待したときに成立する罪

動物を虐待した場合、かつては動物愛護管理法又は刑法の器物損壊罪が成立していました。

両者がそれぞれどのような場合に成立していたかというと、人が飼っているペットなどを傷つけた場合には、両者のうち法定刑の重い器物損壊罪が成立していました。そして、飼い主のいない野良猫などを傷つけた場合には、「他人の物」ではないので動物愛護管理法違反が成立する、というのがこれまででした。

なお、器物損壊罪はその名のとおり「他人の物を損壊し、又は傷害した」場合に成立する罪です。動物を「物」に含めることに現代的価値観においては違和感を覚えるかもしれませんが、昔の刑法制定当時の社会認識としてはこうせざるを得なかったのでしょう。

 

3 動物愛護管理法の改正による厳罰化

令和2年6月1日に動物愛護管理法が改正され、様々な変更が加えられました。その中の一つに、罰則の強化があります。

これまでは動物を傷つけた場合には「2年以下の懲役又は200万円以下の罰金」だったのが、「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」に変更されたのです。

これにより法定刑が器物損壊罪よりも動物愛護管理法の方が重たくなったので、傷つけられた動物に飼い主がいるかどうかを問わず、動物愛護管理法違反が成立することになりました。

 

4 厳しい処分を避けるためには弁護士に相談を

法の厳罰化により、加害者に対してはこれまでより重たい処分が下されるようになることも考えられます。

本罪の保護法益は社会的法益であることから、例えば飼い主に謝罪すれば処分を免れるとも限りません

処分を避けるためには、弁護士の支援のもと適切な対応をしていく必要があるでしょう。

 

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執筆者情報

越田 洋介Yosuke Koshida

弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士