傷害致死容疑で逮捕されていた男性が、不起訴処分となったとの報道!?
1 傷害致死容疑の男が不起訴になったとの報道
2021年9月30日、傷害致死の容疑で逮捕されていた男性が、不起訴処分(何らの刑罰も受けない処分)となったとの報道がなされました。
男は同年2月、知人を暴行して死亡させたとの疑いが持たれていたようです。
なお「傷害致死罪」とは、暴行を加えた結果、怪我では済まず死亡させてしまった場合に成立する犯罪です。
死亡まではさせなければ「傷害罪」、殺意を持って死亡させた場合は「殺人罪」が成立します。
2 傷害致死罪の法定刑は?
傷害致死罪の法定刑は、3年以上20年以下の懲役です。
罰金刑がなく、また、最低でも3年の懲役という刑が設定されており、極めて重い犯罪と言えます。
人の命が失われているわけですから当然ですが、傷害罪の法定刑が15年以下の懲役又は50万円以下の罰金であることと比較しても、その罪の重さがわかります。
3 本件が不起訴処分となった理由は?
傷害致死罪が成立すると、初犯であっても正式裁判により3年以上の懲役刑となる可能性が高いです。
ただ本件では、不起訴処分(何らの刑罰も受けない処分)となっているようです。不起訴処分となった理由は明かされていませんが、一番可能性が高いのは、被害者遺族への謝罪や謝罪金の受け渡しにより、いわゆる「示談」が成立したというケースだと推測されます。
その一方で、純粋に「自分はやっていない」「犯人は自分ではない」として無罪主張をしていた可能性もあると思います。その場合、捜査機関側で確かな証拠が集められなかった場合、不起訴となる可能性は十分にあります。
また、いわゆる「正当防衛」が成立するため起訴が見送られたという可能性もあると思います。例えば、むしろ最初に暴行を働いたのは被害者側であって、加害者側はやむを得ず最低限の防衛行為を行ったところ被害者側が大怪我をしてしまったといったケースです。
さらに、「傷害致死」容疑での逮捕であっても、捜査が進むにつれて、暴行と死亡結果との間の因果関係が否定され、傷害罪さらには暴行罪(怪我すらさせていない)に罪名が切り替わったという可能性もあると思います。
例えば、実際に容疑者が行った行為は怪我すら生じない軽度のものであり、その後被害者が全く異なる理由で死亡するに至った場合などです。
4 傷害致死容疑で逮捕されてしまった場合に弊所でお手伝いできること
上記のように、仮に傷害致死容疑で逮捕されてしまったとしても、被害者遺族との示談や、やっていない場合の無罪主張、そして場合によっては正当防衛や因果関係否定の否定により、不起訴や無罪判決、又はそこまでは行かずとも出来るだけ刑罰を軽くすることを目指すため、あらゆる方策を尽くさせていただきます。
もしご家族が類似の事件で逮捕されてしまっている場合、まずは今すぐご相談ください。
執筆者情報
佐山 洸二郎Kojiro Sayama
弁護士法人 横浜パートナー法律事務所 弁護士